event開催報告

2025.06.13第8回キャリアデザインカンファレンス 審査講評

低学年キャリアプログラムの表彰が今年度より開始!
改善・改良を続けているプログラムが高評価を得る結果に

法政大学の梅崎 治教授による2025年度の審査講評では、学生が選んだプログラムの内容とその評価について述べられた。

特に、低学年向けキャリアプログラムの表彰が新たに始まったことが大きな変化として挙げられ、「低学年部キャリアプログラムというのは 一体どういう内容であるべきなのか」と「3年次からのプログラムというのは 本来どういうあり方であるべきなのか」が重要なテーマとして浮かび上がった。この両者の関係性からは、プログラムごとの独自性を鑑みて、キャリア発達に応じた適切なプログラム提供がなされたものが優れたプログラムとして評価されている。

また、学生のディスカッションやワークショップでは、評価されている8割のプログラムは毎年適切な運用がなされているが、その中でも改善・改良を続けているプログラムは充実度が高く、より高い評価を得たことが分かった。

表彰された各プログラムの評価ポイントとは

低学年向けキャリアデザイン賞は株式会社エービーシー商会、地域志向型インターンシップ ネットワークinいわて/横浜国立大学/駿河台大学/岩手大学が受賞。
株式会社エービーシー商会のプログラムは「会社とはどのような仕事で構成されているのか」をテーマに、10種類の職種間の協業体制であることを学生に理解させることを目的としており、協業体制の成り立ちを理解させる明確なメッセージ性と工夫があったことが受賞の決め手となった。
また、地域志向型インターンシップ ネットワークinいわて/横浜国立大学/駿河台大学/岩手大学のプログラムは、ライフキャリアの形成をテーマに、「働くこと」と「暮らすこと」が密接に関係している地域社会の理解を促した。このプログラムは、大学1年生だからこそ持ちうる、「今後の人生をどう歩むか」という大きな問いに応える内容である。よって、学生生活の早期段階から人生設計を考えることのできるプログラムとして高い評価を得た。

次に、優秀賞の受賞理由についての解説に移る。鹿児島大学、日本航空株式会社及び日本エアコミューター株式会社のプログラムは、パイロット職に特化した高度なプログラムでありながら、職種を超えた地域社会や地域観光の実情を学ぶことのできる内容が評価された。
また、株式会社DAY TO LIFEのプログラムは、スイーツ業界の最前線で活躍するクリエイターに学ぶ10日間の実践的プログラムで、関係社員に協力を仰ぐだけでなく、社員に向けた事前学習を行った。サポート体制をより強固にするだけでなく、関係社員にも成長の機会を与える、といった非常に丁寧な学習過程が評価を得る要因となった。
名古屋商科大学の海外インターンシッププログラムでは、計10回行われた週1コマ90分のガイダンス、渡航前の4日間にわたるオリエンテーションなどの充実した事前学習が特徴的だ。さらに、レポートや報告会を通じて帰国後の振り返りに重点を置くことで、学びの深さや海外での体験を自身に落とし込むことができる点が評価対象となった。
株式会社ニトリホールディングスのプログラムでは、店舗運営を複数の視点から体験することで、仕事の裏側や、実情についての理解が深まる工夫がなされている。梅崎教授は、本プログラムを「バックヤード的感覚」で体験できると評価した。

「私の造語にはなるのですが、仕事を理解するときには『バックヤード的な感覚』というのが非常に重要だと考えています。消費者として表面上の仕事を見ているのではなく、『裏側はどうなっているんだろう』『仕事は誰が支えているんだろう』という観点で仕事を見ることです。このプログラムはまさにバックヤードを見ることによって仕事を理解する、もしくは職場の協業体制を理解するという形になっています。学生部会での選考においても、学生は単なる丸付けをしているわけではなく、ワークショップをしながら評価をしています。その中でこうした微細なプログラムの良さというものに対して、高い評価をしたのではないかなと思います。」

そして、地域創生賞を受賞した信州大学、富山大学、金沢大学のローカル越境プログラムは、近隣地域における大学間での連携を成し遂げた点や、教員が学生に教えるのではなく修了生をメンターとして、学生同士で教え合うことのできる学習集団を形成した点が受賞の大きな要因となった。

文部科学大臣賞を受賞した三条市立大学のプログラムは、地域の特性を生かし、150社以上の企業と連携したプログラム運営における労力とネットワーク構築の重要性が評価された。また、入社後3年目の社員や大学教員の巡回やキャリアカウンセラーの協力など、学生にとって多角的な視点でのサポート体制が整えられている点も評価が高かった点である。

最後に、大賞を受賞したヒルトングループのプログラムは、PBL(Project Based Learning)での学習を成功に導く丁寧な事前準備とサポート体制が特徴的だ。コンセプトも明確で、実務や成長(キャリア)、リーダーシップという3つのテーマを、「この会社にはどんな能力が求められているか」、「入社するにあたりどのように学べばいいのか」、そして「どのような組織なのか」ということを体系的に学べる構成になっている点が優れているとされた。

今後求められてくるのは、「年次ごとのキャリアデザインプログラムの体系化」

梅崎教授は、実践したことを共有し、連携を図っていくことのできる場として、アワードの重要性を強調しつつ、次のように語っている。

「おそらく今年度以降求められるのは、1年生・2年生・3年生それぞれの段階に応じたプログラムということです。逆に言えば、うまくいかないのは3年生のプログラムをそのまま1年生に持ってきてしまうといったことです」

▼投影資料より抜粋

    「学生が選ぶ
    キャリアデザインプログラムアワード」
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