「学生が選ぶインターンシップアワード」は、学生たちのリアルな視点で、企業理解・仕事理解に効果の高いインターンシッププログラムを評価するアワードとしてスタートし、今回、第5回目を迎えました。さまざまな業界の企業・団体から応募された2023年卒以降の学生を対象としたインターンシッププログラムについて、3,652名の学生が100問にわたるアンケートに回答。企業・団体側から提出された応募資料は事務局による一次選考の後、学生アンケートをもとに二次選考となる学生選考会が実施されます。
今回の学生選考会は、2022年2月に開催。3日間にわたって、合計約120名、各回約40名の学生が参加しました。コロナ禍ということもあって、前回と同じオンライン形式での実施となりましたが、モニター越しに活発な意見が交わされました。その様子をレポートしながら、選考会を通じて見えてきた学生たちのインターンシップに対する本音をご紹介します。
まずは、個人ワークでプログラムを評価し、グループ内で発表!
学生選考会に集まった学生は、オリエンテーションと自己紹介の後、まずは個人での評価作業を開始します。学生たちは、企業・団体のインターンシッププログラムに関する説明資料や、実際にインターンシップに参加した学生のアンケート結果を読み込みながら、90分ほどかけて1社ずつ丁寧に評価を行っていきました。
個人評価が終わると、5~6名のグループでファシリテーターやタイムキーパー、評価フォームへの入力担当といった役割分担を決めたうえで、プログラムごとの評価を共有していきます。一人ずつ順番にプログラムへの感想や評価ポイントを発表してきました。
「入社後の新人研修のような内容で、働くイメージがしやすい点が魅力」「個別のフィードバックが充実しているのがいい」「社長が積極的に参加していたことから、会社全体の真剣さが伝わった」「報酬や交通費が支給されるプログラムはありがたい」など、ざっくばらんに意見を発表。「仕事の魅力だけでなく、泥臭ささまで伝える点にリアルさを感じた」といったように、ネガティブな部分も包み隠さずオープンにしているインターンシッププログラムに好感を持っている学生も目立ちました。
「どういう点がプラスの評価につながったのですか?」「低評価の理由はどういうところですか?」など自分とは異なる評価をした参加者同士でのディスカッションを行ないながら、グループごとに企業の順位付けを行っていきます。今年の参加者は特に、オンライン授業やインターンシップに慣れている学生が多いこともあってか、積極的な意見交換が行われていました。
活発なディスカッションを経て、グループとしての評価を決定
続いて、メンバー全体の総意をまとめてグループでの評価を決定する段階へ入ります。あるグループは、独自性の高さについて活発に議論。「実務を体験できるだけでなく、お客さまの立場も経験でき、両方の視点から仕事のことを知れるのはすごく魅力的」「でもそれって、他の会社でも同じことができますよね?」などの意見交換と通じて、慎重にグループの最終的な評価をまとめます。
「企業選びにどう生かせるか」「学んだことが社会人になっても役立つか」といった視点を軸に評価を行っているグループもありました。一人ひとりにしっかり向き合って長所、短所をフィードバックしている会社・団体に対しては、「どこに行っても活躍できる人材になってほしいという、学生に対する想いを感じることができた」という声があがり高評価を得ていました。
最終的にはグループごとにそれぞれのインターンシッププログラムの「ディスカッション後評価ランク」を確定し、その理由やコメントを代表者がフォームに集約していきました。
グループごとの評価を発表!学生が重視する選考ポイントが明らかに
そして、いよいよ全体発表です。プログラムの概要を簡単に紹介したうえで、その評価ポイントや評定理由について代表者が発表していきました。「どこの企業でも体験できるプログラムだと参加した意味がない」という声からもわかるように、多くのグループが共通して重視されていたポイントは、「オリジナリティの高さ」です。その企業・団体でしか経験できないようなテーマ設定など、よりその仕事内容に近い実務体験(または疑似体験)ができるインターンシッププログラムは高い評価を得ていました。また、独自性の高さに加えて、「学生が主体となって取り組めるか」や「実務に即した実践的な内容かどうか」も、大きな評価基準になったようです。
インターンシップにおいてフィードバックや学習効果を実感できることが満足度に影響することは、これまでのアワードにおいても明らかになっていますが、やはりオリジナリティの高さと同じくらい、各グループが重視していたのが、フィードバックの丁寧さです。なかでも、書面やメールで個別のフィードバックを行っている企業・団体は多くの支持を集めていました。「後から見直すことができ、今後に役立てることができる」「社会人として足りない自分の課題がわかる」などの意見からもわかるように、実際の企業で働いたことのない学生にとってはインターンシップでの経験が大きな成長のきっかけになります。逆にフィードバックがないインターンシッププログラムについては、「参加した意味がなく、今後につながらない」と辛口の意見も多く見受けられました。
協力社員や職員の数も、学生たちにとっては気になるポイント。「職場の雰囲気を知るうえで、どれだけ多くの社員と触れ合えるかは重要」「100人以上の会社なのに、社員2~3人としか関われないのは残念」など、会社の雰囲気を社員から感じられるかどうかも評価に大きな影響を与えたようです。
そのほか、学生の募集人数やインターンシップの期間についても言及されました。「募集人数が少なすぎると、他の学生と交流ができなくて残念」「期間が長すぎても学校との両立が難しく困るので、2~3日が妥当」という声もあがりました。
まとめ
自主的に参加した約120人の学生たちがリアルに本音をぶつけあい、4時間のプログラムが終了しました。
今回の選考会から見えてきたのは、インターンシップには会社・団体ごとの「オリジナリティ」と「リアリティ」が大切だということ。また、フィードバックの重要性や社員・職員の協力体制を重視する声も目立ち、「どれだけしっかりと学生に寄り添っているか」が満足度を左右するようです。インターンシップを実施する企業・団体にとって、受け入れ準備の負担は決して小さなものではありませんが、学生選考会で見えてきた学生たちの本音をヒントに、ぜひインターンシップを通じた仕事理解を促進していきましょう。