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テンプル大学ジャパンキャンパス私たちの取り組みが世の中に発信されることで、 長期インターンシップへの注目が高まればうれしい

テンプル大学ジャパンキャンパス

「第6回キャリアデザインプログラムアワード」で、優秀賞を受賞したテンプル大学ジャパンキャンパスのインターンシッププログラム。1982年の創設以来続けられており、単位認定がされる長期インターンシップです。学生が主体的に学びと成長の機会を求めて参加する応募プロセスであることが高評価を獲得しました。産学連携インターンシップの先駆者でもあるテンプル大学の取り組みを紹介します。

(お話をしてくれた方)
就職部/エリカ アダムスさん

アワードに応募した大きな理由は
米国では一般的である学部生の単位認定長期インターンシップを広めたい、という想い

――まずは、今回「キャリアデザインプログラムアワード」に応募された理由を教えていただけますか?

本学では1982年の開校当初から、一定期間の就業体験を卒業単位として認める、米国では広く行われているインターンシップを実施しています。学生たちは授業と両立しながら、合計140時間以上(3ヵ月ほど)にわたってインターンシップに参加します。受け入れ先の企業や団体の業務理解を深め、実践的な経験が積める米国型のインターンシップをより多くの方に知ってもらいたいという想いから、今回の応募に至りました。

――そして見事、優秀賞を受賞しました。その知らせが届いたときの感想を聞かせてください。

とてもうれしかったです。私は、ずっとインターンシップの運営に携わってきました。長年、地道に取り組んできたことが公の場で評価され、とても感慨深く思っています。

就職活動と同じプロセスを体験できるのが特徴
約100の企業や団体と提携しているのも強み

――「テンプル大学ジャパンキャンパス・インターンシッププログラム」の大きな魅力は、長期間にわたるプログラムであることです。その他には、どのような特徴があるのでしょうか?

本学のインターンシップでは、学生が専攻や興味、自身のキャリアプランに基づいて、自主的に受け入れ先を選んでいきます。しかも、履歴書を提出してエントリーし、面接を受けて合否が決まるという流れ、つまり、インターンシップへの応募を通して、就職活動とまったく同じプロセスを体験できることが大きな特徴です。また、学生の6割が外国人ということもあり、外資系企業や大使館など、英語を主言語とするインターンシップ先が多いのも特徴です。

――民間企業から非営利団体、政府機関まで、約100の企業や団体と提携しています。なぜ、これほど多くの受け入れ先に広がったのでしょうか?

実は、私がインターンシップを担当するようになった14年前は、提携企業や団体は20ほどでした。そこから、学生が興味を持ちそうな分野の企業や団体へ直接足を運び、地道に受け入れ先を開拓。近年ではありがたいことに、「インターンシップ生を受け入れたい」と声をかけてきてくださるケースが増えています。本学の学生たちの特徴は、語学力、積極性、論理的思考力に長けていること。提携企業や団体からの評判が口コミや紹介で広がっていくなどし、着実に受け入れ先が増えていきました。

――提携先を広げていくうえで、大切にされていることは何ですか?

ただ単に提携先を増やしていくのではなく、専攻に関連した実務経験ができるかどうかなど、学生目線を大切にしています。例えば、国際関係学専攻の学生が興味を持ちそうな大使館や国際機関にアプローチ。また、日本語学科が誕生したときには、通訳や翻訳、ゲームのローカライズなどにチャレンジできるインターンシップ先を探しました。2023年秋学期に新設された観光・ホスピタリティマネジメント学科の学生のために、ホテル業界へもネットワークを広げています。

“就業体験”ではなく“実務経験”だから
学生たちは大きな手応えを味わえる

――産学連携のインターンシップを実施するにあたって、企業や団体とはどのようなルールを設けているのですか?

私たちからお願いしているのは、「実務経験」「学生への手厚いフォロー」「丁寧なフィードバック」の3点です。事前に企業や団体とディスカッションを行いますが、プログラムの詳細についてはそれぞれの企業や団体にお任せしています。

――では実際に、どのようなインターンシッププログラムがあるのでしょう?

ある国の大使館のインターンシップに参加した学生は、日本の政治情勢や経済分析をレポートするミッションを与えられました。安部元首相の国葬が行われるタイミングで、その国の国王が出席するということで、当時の日本の政治情勢や国葬の歴史、事件の背景などについて本国へ報告を行うなど、重要な役割を担いました。また、有名ファーストフードチェーンのインターンシップに参加した学生は、新商品やSNSプロモーションの企画を担当。自分が考えたアイデアを、幹部の前でプレゼンテーションするという経験をしました。

――単なる就業体験ではなく、実務を経験できるのが大きな特徴なのですね。

その通りです。一つの事例ですが、本学では9名のウクライナ人避難学生を受け入れていまして、そのうちの一人が戦争の影響で将来を悲観して、就職部に相談にきました。もともとジャーナリストをめざしており、戦争が始まる前まで、地元のメディアでインターンをしていたとのこと。就職部では彼女をサポートし、外資系メディアでのインターンシップをするという道が開けました。また、自身のリアルな現地での体験を実際記事にし、全世界に向けて発信しました。その後、さらに経験を重ねるために、日本外国人特派員協会で新たなインターンシップに参加しています。

「学生のため」という想いを就職部と教授が共有
両者の協働で学生たちを徹底サポート

――「テンプル大学ジャパンキャンパス・インターンシッププログラム」には、多くの学生が参加しています。それだけ高い参加率を実現できるのは、なぜなのでしょう?

ひとつが、米国大学の特徴としてインターンシップを卒業単位として認定していることです。分野によっては必修になっている専攻も多くあります。業種の選択肢が幅広く、バラエティ豊かなプログラムが用意されているのもポイント。また、長年にわたる実績があり、入学直後から将来インターンとして参加するプログラムの検討を始める学生がいるなど、インターンシップが根づいていることも大きな理由だと言えるでしょう。

――学生たちに対しては、どのようなフォローを行っているのですか?

ミスマッチを防ぐために、応募先を決める段階から私たち就職部が関わっています。また、履歴書や志望理由の書き方も指導。模擬面接やコーチングもします。就職部だけでなく、専攻の担当教授によるフォロー体制も確立。教授はインターンシップ指導計画書を作成し、一人ひとりの学生たちとしっかり向き合っています。

――就職部と教授が一体となって、学生をサポートできる理由は何ですか?

就職部のスタッフは決して多いわけではありませんが、教授たちと協働することで、きめ細やかなフォローを実現しています。共有している想いは、学生のためにできる限りのことをしたい、というもの。「自身の成長につながった」「専門スキルを身につけることができた」という声を聞くと、さらにその想いが強くなります。「このインターンシップでの経験がなかったら、今の会社に就職していませんでした。本当に感謝しています」という言葉をもらったときの喜びは、言葉で言い表すことができません。教授たちも同じ想いを共有しているからこそ、スムーズに協働できているのだと思っています。

人材開発関連のWebサービスの活用で業務効率化を実現
学生のスキルレベルを可視化でき、育成にも生かせる

――インターンシップの運営をスムーズに行うために、工夫されていることはありますか?

本学では、「SkillSurvey」という米国本校も採用している人材開発関連のWebサービスを導入しています。受け入れ先の評価と学生の自己評価を、システム上で一括管理できるというもの。導入理由は、NACE(全米大学雇用主協会)の8つのコンピテンシーをインターンシップ評価に組み込みたかった、そしてより評価データを簡単に分析できるようにしたかったのが大きいです。それまではメールでのやりとりでしたが、「SkillSurvey」では各々がシステムに入力すればいいので、大幅な業務効率化につながりました。受け入れ先の評価と学生の自己評価をもとに、一人ひとりのスキルレベルを可視化できるのも特徴。また、データ分析の結果を学生たちの育成に役立てることもできます。

――今後の展望について教えてください。

現状に満足することなく、インターンシップのクオリティをさらに高めていきたいと考えています。特に、業種のバラエティをさらに広げていくことが直近の目標。そうすることで、学生たちの可能性を伸ばしていけると考えています。また、本学では英語が公用語であり、日本語が得意でない英語のネイティブスピーカーも多いため、公用語が英語で、実務に日本語を必要としない受け入れ先を増やしていくことも目標のひとつです。さらには、インターンシップから就職へのコンバージョン率を高めていきたいです。

アワードを通して他の企業や団体の
取り組みを知ることができて大きな刺激に

――「キャリアデザインプログラムアワード」に参加することのメリットは、どんなところだと思われますか?

自分たちの取り組みを広く知ってもらえると同時に、受賞された他の企業や団体のプログラムを知ることができるのも魅力。授賞式に参加した際に、他の受賞企業や団体と交流でき、今後、インターンシップをブラッシュアップしていくうえで、大きな刺激を得ることができました。

――今後、「キャリアデザインプログラムアワード」に期待していることは何ですか?

学生たちのためにも、私たちが実施しているような米国型の長期インターンシップのメリットを積極的に発信していってもらいたいと考えています。実際に実施した企業や団体、参加した学生たちのリアルな声を広く伝えることで、長期インターンシップが日本に定着すればうれしいです。

――最後に、産学連携インターンシップの先駆者として、これから取り組みを始める大学関係者の方々にアドバイスをいただけないでしょうか?

学生の参加率を高めるためには、学生と受け入れ企業・団体、そして教授との連携だと思います。また、受け入れ先の企業や団体とのやりとりは、スピード感も大切だと言えるでしょう。最初は、米国大学のように授業単位として組み込むことや、受け入れ先を見つけるのは大変かもしれません。まずは、1社、2社でもいいので、実際に取り組んでみることが大切。地道に活動を続けていけば、少しずつ道は拓けていくはずです。

 

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~キャリアデザインプログラムアワード2023 優秀賞受賞~

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