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島根電工株式会社受賞は学生が地元企業に目を向けるきっかけになり、 地域の企業間交流の活発化にもつながる

島根電工株式会社

「学生広報室を立ち上げ、SNSを使った会社のプロモーションを行う」というユニークなインターンシップで、「第6回キャリアデザインプログラムアワード」優秀賞を獲得した島根電工。プログラム誕生の経緯や実施するうえでこだわったこと、本アワードに応募し、受賞してよかったことなどについて、代表とインターンシップ担当者に話を伺いました。

(お話をしてくれた方)
代表取締役社長/野津 廣󠄁一さん
管理本部 教育課/山本 翔さん

コロナ禍でアルバイトできない学生のために
有償型の長期インターンシップを企画

――このたびは、おめでとうございます。まずは、優秀賞受賞の知らせを聞いたときの率直な感想からお聞かせください。

長期にわたって学生たちを受け入れ、会社のプロモーションを行ってもらうというインターンシップは当社で初となる試み。そのため、何もかもが手探り状態でのスタートでした。ですから今回、優秀賞をいただくことができ、とてもうれしかったです。協力してくださった島根県立大学さんにも、いいニュースを届けることができました。

島根県内で学んだ学生たちの多くは、県外で就職しているのが現状。そんななか、今回の受賞を通して当社にスポットライトが当たることで、地元企業に目を向けてもらえるきっかけになれたことも、喜ばしく思っています。

――そもそも島根電工がインターンシップに取り組み始めたのは、いつ頃でしたか?

おそらく、8~9年前だったと思います。ただ、今回受賞した長期間におよぶ有償のインターシップを始めるまでは、会社紹介をして仕事体験をしてもらうといった、ごく一般的なプログラムでした。

――それがどのようにして、「住まいのおたすけ隊 学生広報室~生きた情報と魅力を発信(長期有償型IS)」へと進化を遂げていったのでしょう。

実は、有償型の長期インターンシップを始めることになったきっかけは、コロナ禍の影響だったんです。私たちの本社がある島根県松江市界隈では、学生のアルバイト先は飲食店が主流。ところがコロナ禍で、多くの学生がアルバイトをできる環境ではなくなってしまいました。そこで、地元企業として少しでも学生の力になりたいと考え、今回のプロジェクトがスタートしたのです。

SNSを中心とした会社のプロモーションをお願いすることにした理由は、当社の課題解決にもつながるからでした。これまでに社内で何度か、SNSでの情報発信にチャレンジしてみたものの、思うように成果が出なかったんです。そこで、デジタルネイティブ世代である学生たちに、任せてみようということになりました。

「与えすぎない・伝えすぎない・教えすぎない」
を掲げ、学生の主体性を尊重

――プログラムを構築する際にこだわったことや、大切にしたことを教えてください。

プロモーションを任せるうえで、まず会社や社風について理解を深めてもらうことを重視。具体的には、入社1~3年目の社員を対象とした計4回、15日間の若年社員研修を受講してもらいました。スポーツなどのレクリエーションもあり、企業理解を深めるだけでなく、社員たちと距離を縮めるいい機会にもなったと感じています。

「与えすぎない・伝えすぎない・教えすぎない」ことも、大切にしたことのひとつです。その理由は、学生たちの自由な視点で当社の魅力を見つけ、情報発信をしてもらいたいと思ったから。「これについてSNSで発信してください」と指示を出すのではなく、学生たちの主体性を尊重することにしました。

――実際、学生たちが自由な発想でアイデアを具現化していくことで、高い教育効果が得られる点が、受賞の大きな要因につながりました。そう聞いたときは、どのように思われましたか?

「有償型のインターンシップである以上、成果をあげてもらわないと困る」という会社もあるかもしれませんが、当社にはそんな考えはまったくありません。そうした成果主義が伝わると、おそらく学生たちは萎縮してしまい、思いきったチャレンジができないでしょう。ですから、学生たちには「自由に」「気楽に」と、経営陣自らが声がけを行っていました。私たちが大切にしていた点が評価されたことは、非常に喜ばしく思います。

――ちなみに、インターンシップの実施にあたって、どのようにして社員たちの協力を取り付けたのでしょう。

毎月発行している社内報でインターンシップの内容を説明し、社員たちに周知しました。正直、会社側がやったのはそれくらいです。プロモーションの動画撮影には、多くの社員が協力してくれたのですが、撮影協力のお願いをしたのは学生たち。「学生のために一肌脱ごう」と、社員たちは前向きに協力していました。

SNSで意外な動画がバズったことから
若手を積極的に活用することの重要性を実感

――学生広報室の学生たちが自由な発想で実施した、SNSプロモーションの反響はいかがでしたか?

約半年間のインターンシップ期間中に合計58本の動画を投稿したのですが、総再生回数は127万回。なかにはバズった動画もあり、「電線チャレンジ!社員さんに、メジャーを使わずに電線を100cm測っていただきました!」という動画の再生回数は34万2800回を記録しました。私たちにとって当たり前のことが、他の人にとって魅力やおもしろさにつながることを実感。社外からの視点は、当社に刺激をもたらしてくれました。

また、この経験を通して感じたのは、若手を活用することの大切さです。地域の会合などで地元企業が集まる機会があるのですが、参加者は私たちと同年代のメンバーばかり。若手たちが交流しながら、柔軟な発想でアイデアを出し合うことが、魅力的な街づくりや地域の活性化につながるのだろうと思いました。

――インターンシップを終えたあとの学生たちの様子について教えてください。

4月に初めて顔を合わせたときと比べると、インターンシップが終わった9月には大きな変化がみられました。一番印象に残っているのは、自ら率先して動くのが苦手だった学生。普段SNSもやっていなくて、参加した当初は何をやればいいのか戸惑っていました。ところが、インターンシップを通して主体的に自分の想いを発信するようになり、行動も変化していったのです。

大学との連携は企業にとって大きなメリット
学生をフォローしてくれた教員たちに感謝

――今回のインターンシップは、島根県立大学の協力のもとで実施されました。大学と連携するにあたって、心掛けたことはありますか?

大学の学生たちを預かるうえで、私たちが重視したのは学校との情報共有です。インターンシップ期間中は、どんな些細なことであっても、逐一報告を入れるように。コミュニケーションの方法としては、チャットツールを導入し、スピーディにやりとりできる体制を整えました。

――大学と連携してインターンシップを実施することのメリットを教えてください。

教員の方々の存在は、とても心強かったです。まず、長期インターンシップということもあって、学生たちに会社に来てもらう日程を決めるのが大変でした。そんななか、間に入って調整役を担ってくれたのが教員の方々だったのです。

また、定期的に学生たちと個人面談をしてくださったことも、ありがたかったことのひとつ。例えば、若年社員研修に参加することに、意味を見出せない学生がいました。そんなときに、教員の方々が面談を通して、「なぜ若年社員研修に参加する必要があるのか」を説明してくれるなど、しっかりフォローしてくれたのです。今回のインターンシップの成功は、島根県立大学の協力なしにはあり得ませんでした。教員の方々には、とても感謝しています。

受賞をきっかけに地域の企業間交流が活発化
地方の採用課題解決の下地づくりにつながった

――本アワードに応募し、受賞してよかったことは何ですか?

そもそも、「キャリアデザインプログラムアワード」の存在は知りませんでした。そんななか、マイナビの営業さんから勧められて、興味を持ったのです。エントリーしてみようと思ったきっかけは、学生たちへのPRになると同時に、会社の価値向上に役立つと考えたから。応募して、優秀賞を受賞したことで、周囲から想像以上に大きな反響がありました。

まず、地域の企業から、「インターンシップの内容について教えてほしい」という問い合わせが入るようになりました。現在は、他社とインターンシップのプログラムを共有し、お互いフィードバックし合うような関係性へと発展。企業間交流の促進につながったことが、受賞の大きなメリットだと感じています。

少子化が進むなか、地方の企業が多くの学生たちに注目してもらうためには、採用活動において横の連携が必要不可欠だと感じていました。そんななか、インターンシップに関する企業間交流は、その下地づくりにつながっていると言えるでしょう。

――受賞を知って、社員さんはどんな反応を見せましたか?

動画に出演した社員たちは、「協力した甲斐があった」と喜んでいました。また、学生たちとの関わりのなかで、社員たちが自分の仕事の価値を再確認し、会社や地域の発展について考えるきっかけを提供できたことは大きな収穫です。

学生と地域がより深くつながれるプログラムへ
他企業とのコラボレーションにも挑戦したい

――インターンシップにおける、今後の意気込みを聞かせてください。

今回受賞したインターンシップは、SNSを活用したプロモーションが中心でした。現在実施しているプログラムでは、それに加えて対面のイベントも企画中。今後は、当社と学生だけでなく、学生と地域がより深くつながれるインターンシップへと進化させていきたいと考えています。

また、当社では電気や水道のトラブルをはじめ、暮らしのさまざまな困りごとを解決する、「住まいのおたすけ隊」を全国でフランチャイズ展開しています。その代表者が集まる会合の席でよく聞かれるのが、「採用に困っている」という声。地元の他企業も、同様の問題を抱えています。そこで今後は、“島根電工”という枠を超え、他社とコラボレーションしたインターンシップの可能性も探っていきたいです。

―最後に、「キャリアデザインプログラムアワード」にどんな期待をよせていますか。

私たちにとって、「キャリアデザインプログラムアワード」の受賞は目的ではなく、あくまで結果にしか過ぎません。ただ、受賞によって大きな反響を得られましたし、「受賞を目指したい」と言って当社のインターンシップに参加してくれる学生も現れました。企業にも学生にも好影響を与えるアワードなので、今後も継続的に続けていってもらいたいと思っています。

また、授賞式に学生たちが参加できるようになれば、よりいっそう盛り上がるのではないでしょうか。次回もエントリーする予定ですので、「キャリアデザインプログラムアワード」のさらなる発展に期待しています。

 

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~キャリアデザインプログラムアワード2023 優秀賞受賞~

    島根電工株式会社のプログラム内容はこちら

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