オンラインでありながらグローバルな環境で
リアルなプロジェクトが体験できるよう工夫
主催者の代表による挨拶の後、前回「オンライングローバルインターンシップ2021」で大賞を受賞したボッシュの市山千奈美さんが登壇。ベトナム法人とリモートで連携しながら実施したプログラムの振り返りを行うと同時に、アワード誕生から3年連続で優秀賞を受賞し、昨年大賞に輝いた経験をもとに、インターンシップの開催が学生や企業・団体にもたらす効果について語ってくれた。
「130年以上の歴史を誇るボッシュは、ドイツに本社を構える会社です。『Invented for life』をコーポレートスローガンに掲げ、最新テクノロジーで世界中の人々の生活の質の向上を目指しています。自動運転に関する、特許出願件数は世界5位。約60ヵ国に拠点を構え、1911年に誕生した日本法人では、主にモビリティ事業を展開しています」
大賞を受賞した「オンライングローバルインターンシップ2021」は、コロナ禍で海外に渡航できない状況のなか、例年開催していた「グローバルインターンシップ」をオンライン化したもの。11日間にわたって実施され、3人1チームでベトナム法人と一緒にプロジェクトを進めていくという内容だ。オンラインで完結してしまうのではなく、横浜研究所で実車テストを行うなど、学生にリアルな体験を提供できるよう工夫がなされた。
「ちなみに当社では、『グローバルインターンシップ』のほかにも、二つのインターンシップを用意しています。一つが、主に夏に開催される『シーズナルインターンシップ』。そしてもう一つが、最短で3ヵ月、最長1年にわたる『スタンダードインターンシップ』です。長期インターンシップは、学生たちにより多くのメリットを提供できると考えています」
会社や働くことへの理解を深めるだけにとどまらず、
学生生活や就職活動に活かせるよう配慮
優秀賞を3回、大賞を1回受賞したボッシュが考える、インターンシップが学生に与える価値とは何なのか。市山さんによると、それは、“会社をよく知る機会”と“働く意味を理解する機会”だという。
「企業で働いた経験がない学生は、会社や仕事に対して具体的なイメージを持つのが難しいでしょう。けれども、世界中にいるボッシュの仲間と一緒に、実際のビジネスに近い実務体験をすることで、会社や仕事への理解を深めることができます。また、従業員とコミュニケーションを取ったり、協力しながら仕事を進めていったりする経験は、働く意味を見出すヒントになるのではないでしょうか」
また、いまやインターンシップは多くの学生にとって、“ガクチカ”としても誇れる体験の一つ。特に、“グローバル”“長期間”にこだわったボッシュのプログラムは、学生たちにとってもいいアピール材料となるはずだ。
「実際、『面接で自分の強みを聞かれた際に、ボッシュでのインターンシップ経験を交えながら上手くアピールできました』と報告をくれた学生がいました。当社にエントリーしても、しなかったとしても、学生のその後の学生生活や就職活動に役立てるのであれば、インターンシップを行う価値があると考えています」
インターンシップを続けていくためには
毎年のブラッシュアップが必要不可欠
次に、市山さんはインターンシップを開催する企業・団体側のメリットについて語ってくれた。キーワードは全部で4つ。「若者の意見や考えを知る機会」「若手社員のメンターシップ経験」「企業・部署のプロモーション」「新卒のスクリーニング」だという。
「アイディアやイノベーションは、ダイバーシティの価値観のなかから生まれます。ですから、学生の意見や考えを知れるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。また、若手社員たちは後輩のような存在が入ってくることで、適度な緊張感や刺激が得られます。もちろん、プロモーション効果も非常に高い。職種別採用を実施している当社には、学生から注目されにくい職種があるのですが、そういった部署にはメリットを丁寧に説明し、インターシップ生を受け入れるようアピールしています。新卒のスクリーニングについては、インターンシップを通して学生たちとともに過ごすことで、面接だけでは読み取れない学生の価値観や思考に触れることができるでしょう」
学生だけでなく、自分たちにもメリットがあるとわかっていても、時間も労力もかかるインターンシップを継続させていくのはそう簡単なことではない。ただ市山さんによると、毎年プログラムをブラッシュアップしていくことが、モチベーションにつながっているとか。
「毎年同じことをしていても、おもしろくありません。だからこそ、同じプログラムであっても改善点を見つけ、クオリティを高めていく努力をしています。例えば、2023年はメンターやフォローに関する仕組みをより強化しました。現状に決して満足することなく、今後も学生のためや会社のためになるインターンシップを継続させていきたいと考えています」