event開催報告

2021.06.25「インターンシップアワードに輝いたプログラムの評価と分析」審査講評

問われたのは、オンラインとオフライン
双方のインターンシップのあり方

受賞法人のプログラムの紹介と表彰式に続き、本アワードの選考委員を務める法政大学 キャリアデザイン学部 教授 梅崎修さんが今年の内容について講評。評価された法人のプログラムの優れていた点に加えて、今後のインターンシップのあり方についても考察がなされた。

「審査員の一人として、学生がどのようなポイントで選考を進めているのか、また受賞されたプログラムのどこが素晴らしかったのかを、私の立場からコメントしたいと思います」

2020年は、世界中がコロナ禍に襲われた特殊な1年となった。そのような状況下でインターンシップを企画し、実行することには、大変な苦労があっただろう。そんななか、梅崎さんは今回の選考で、2つのポイントがあることに気づいた。

「1つめは『オンライン型のインターンシップ体験とはどんなものか』というもの。各法人が試行錯誤のうえ、さまざまな工夫を凝らしていたことが、それぞれのプログラムに反映されていました。2つめは『オフラインのインターンシップ体験とは何なのかを改めて問い直す』ということです。完全にオンラインに移行した場合、今までのインターンシップの内容を見直す必要が出てきます。また、オフラインとのハイブリッド型の場合は、削減されるオフラインの時間をどう有効に活用すべきかを考えなければいけません。ですから、プログラムそのものを再設計する必要があった。そういった最新事例の傾向が、とてもよく表れていました」

学生たちは「貴重な時間を割いてまで参加したいのは、どの法人のどんなプログラムなのか」という目線で選考していくため、とてもシビアに評価を下していると梅崎さん。また、中小企業や大学の健闘が目立ったのも特徴だった。
「前回と比較すると、中小企業の挑戦と健闘の様子が多く見られました。そもそも受け入れ人数が少なく、じっくり学生と向き合いやすい点がアドバンテージになったのかもしれません。また、ここ数年継続して見られる傾向ではありますが、大学の評価点も高い水準。大学と企業が手を組むことで、インターンシップの前後のフォローが手厚くなり、プログラムのクオリティが高まっているのです。この点が特に、学生から高い評価を得ていると感じました」

高評価を得た各大学の独創的なプログラム

全体の総評ののちに、各法人の評価ポイントについての説明が行われた。今回のアワードで目立ったのが、大学によるインターンシップ。梅崎さんはそれぞれのプログラムについて、特徴的なキーワードを発表した。フェリス女学院大学のキーワードは、「書く力」だという。

「学生が毎日記録する『実習日誌』は、非常に細かく書き込まれています。職場を観察すると同時に自己の変化を書き込んでいくことは、内省の時間がつくれるという意味で、非常に有益。ただ『振り返りなさい』と言うだけでは、なかなか学びは生まれません。自ら書くことで、言葉を使った自己内対話になっていました」

明治大学と関西大学、2つの大学が連携したインターンシップでは「交ぜる力」がキーワードとなった。インドネシアでのコンペティションを共同で行うことで、学生間にとどまらないグローバルな交流を実現した。

「大学間の連携は難しいものの、学生たちはその挑戦を高く評価していました。通常のインターンシップでは学生が社会人と協力して学びますが、このプログラムは他大学の学生と交流して学ぶというもの。こうした『交ぜる力』を活用することで学びが多面化され、非常に効果的な内容になっていました。また、海外インターンシップは、ビジネスの現場を学ぶチャンス。そういう意味で、インドネシア大学の学生と交流するなど、ここでも『交ぜる力』を発揮して多方面から刺激が受けられるよう工夫されていました」

鹿児島大学のインターンシップは、文部科学大臣賞を受賞。学生たちから高く評価された理由は「地域に根を張る」プログラムだったという点。特に、60ページにおよぶガイドブックに注目が集まった。

「地域の課題解決を目指して、企業単体ではなく地域経済全体を学べる内容です。『地域マインド』という明確な目的があることと、事前学習、インターンシップ、事後学習、成果報告会、振り返りといった長期の流れがあることが大きな特徴。こうした課題解決型インターンシップは他校でも実施されていますが、そのサポートの手厚さと準備、経験、協力企業との関係性の蓄積がガイドブックという形に表れている点が素晴らしい。トライ&エラーを繰り返して全員が一丸となって作りあげたということがよくわかる、とても丁寧なガイドブックであり、インターンシップだと思います」

顧客を巻き込むことで、より実践的な体験を

ロイヤルコーポレーションのキーワードは、企業「内」ではなく、企業「間」を学ぶということ。非常にユニークなプログラムである、と評価された。

「インターンシップに参加する学生が学ぶのは、ビジネスの現場です。通常は会社内でプログラムをまわしますが、同社では企業『間』を教えることに注力していました。実際、ビジネスは企業のなかではなく、企業『間』にある。第一次産業から第三次産業までを通して、こうした『間』を体感できるようにプログラムが設計されており、社員の方々のサポートも適切でした」

大賞を受賞した沖縄ワタベウェディングのインターンシップの特徴は、「顧客を巻き込む仕組みづくり」。学生たちが、実際にウェディングのプランニングを行うという超実践的なプログラムだ。

「ビジネスの現場に学生を参加させる場合、どうしても顧客との関係性の構築が必要になります。けれども逆転の発想で、学生自らが挙式の希望者を募集することで、さまざまなリスクを回避。さらに、募集と接客という2つの仕事体験を得ることができます。学生と会社のみならず、顧客も含めた三方が納得でき、Win-Win-Winの関係が構築できることも高評価。サポートする社員たちからも、学生と顧客を見守る柔軟性を感じることができました」

インターンシップアワードは
プログラムを改良するための学びの場

大賞や文部科学大臣賞、優秀賞に輝いた5法人のプログラムのほか、5つの入賞企業にも光る個性があり、それぞれ高い評価を得ていたと梅崎さん。そうした個性を活かしていくことで、インターンシップのクオリティをより高めていけるという。

「質の高いインターンシップを実施するためには、経験値によるプログラムの改良が必要になります。その小さなクオリティの差を、学生たちはよく見ている。内容そのものに加えて、事前学習の時間は適切か、事後の振り返りで学びを深められるか、という2点が重要なチェックポイントです」

インターンシップアワードに参加すると、他法人のさまざまなプログラムに触れることができる。そのいいところを知り、学び、真似ができる絶好の機会なのだ。実際アワードを経て、ブラッシュアップを続ける法人は多いという。

「ぜひいいところは盗んで、取り込んでいってもらいたい。そうしてPDCAサイクルをまわしながら改良を続けることで、まだ見ぬプログラムができあがるかもしれません。一方で審査員としては、真似て広がるプログラムに加えて『そうきたか』『こんな新しいプログラムがあったのか』という、未知のインターンシップに出会いたいとも願っています」

    「学生が選ぶ インターンシップアワード」
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