企業にとって、今や新卒採用のための重要なプロセスとなったインターンシップ。各社とも趣向を凝らしたさまざまなプログラムを展開していますが、学生たちはどのように感じているのでしょう。そこで、インターンシップに参加した学生たちの座談会を実施。ぜひ彼らの本音を、今後のインターンシップの企画や運営に役立ててください。
参加メンバー
Oさん(文教大学3年生・文系)
Sさん(東京工業大学3年生・理系)
Mさん(学習院大学3年生・文系)
Iさん(駒沢大学3年生・文系)
インターンシップに参加する本当の目的は?
目的も参加社数も人それぞれ
――何社くらいのインターンシップに参加しましたか?
【Oさん】10社のインターンシップに参加しました。人材業界5社、IT業界2社、あとは不動産・広告・テレビ業界で1社ずつと、業界はさまざまです。人材業界のなかの1社だけが5日間で、あとはすべて1日のプログラムでした。
【Mさん】私は、IT・金融・メーカー・法律業界を中心に、15社のインターンシップに参加。期間は、Oさんと同じでほとんどが1日で、1社だけ5日間でした。
【Iさん】IT・広告・飲食・美容・不動産・通信・テレビ業界など、業界を絞らず20社ほどのインターンシップに参加しました。授業との兼ね合いもあって、私が選んだのは1日のインターンシップのみです。
【Sさん】みんな、そんなにたくさんのインターンシップに足を運んだんですね。エンジニア志望の私が参加したのは、ある分野でトップクラスの実力が認められており、グローバルに活躍しているメーカー1社のインターンシップのみでした。ただ、期間は半年間と長く、授業がある日は週2日、夏休み期間中は週5日9時~5時で通ったんです。
【O.M.Iさん】すごい!週5日9時~5時って、まるで正社員ですね。
――そもそも、インターンシップに参加した目的は?
【Iさん】私は、やりたいことが明確に定まっていなかったので、そのキッカケを見つけるのが目的でした。なので、あまり深く考えずに、少しでも興味がある業界のインターンシップにたくさん応募したんです。
【Mさん】Iさんと違って、私は就職したい業界をほぼ決めていました。ですから、あとは社風でエントリーする会社を選びたいと思い、インターンシップに参加しました。
【Oさん】私がインターンシップに参加した目的は、説明会に行くときの「心理的なハードル」を下げたいと思ったから。インターンシップで社員の方と顔なじみになっておけば、その後の就職活動がやりやすいだろうと考えたんです。
【Sさん】私は大学院に進学することを決めていたので、就職活動の準備のためにインターンシップに参加したというわけではありませんでした。世界トップクラスのメーカーで実践的なスキルが磨けると聞き、自分の力を試してみたいと思ったのです。どちらかと言えば、インターンシップというよりも、アルバイトという感覚のほうが強かったですね。
学生が思う“良いインターンシップ”とは
「体験内容」や「社員との交流」、「報酬」という意見も
――参加するインターンシップを選ぶときの基準は?
【Iさん】やりたいこと探しの一環でインターンシップに参加した私は、業界や仕事への理解が深められそうなプログラムを選ぶようにしました。特に、仕事体験ができるインターンシップは魅力的でしたね。
【Mさん】私は、現場の第一線で活躍する社員さんたちと触れ合えるプログラムを重視しました。Iさんと違って、目指す方向がある程度決まっていたので、インターンシップを通して各社のリアルな比較材料を集めたいと思ったのです。
【Oさん】参加するインターンシップを選ぶうえで私が気にしていたのは、フィードバックがもらえるかどうか。自分の強みや弱みを客観的に教えてもらえると、今後の就職活動に役立つと思ったからです。
【Sさん】私は、インターンシップの報酬をしっかりチェックしました。なぜなら、報酬が高ければ高いほど高度な技術力が求められ、挑戦のしがいがあると思ったからです。時給換算すると、1時間2000円以上を目安にしていました。
【Oさん】インターンシップで報酬が出ていたんですか!? 本当に、戦力として扱われていたんですね。ところで、Sさんは短期のインターンシップに参加する気はまったくなかったのですか?
【Sさん】はい。私にとってインターンシップは、実際のプロジェクトに参加して社員さんと肩を並べて働けるチャンスという位置づけでしたから。みなさんの前では言いにくいのですが、逆に1日だけのインターンシップは、私はあまり参加する気になれなかったんですよね。
【Mさん】確かに、会社や仕事のことをより深く理解しようと思ったら、長期のほうがいいですよね。ただ、私は週4日授業があるので、Sさんのように半年間のインターンシップに参加するのは難しいかも。
【Iさん】私も同じです。授業との調整がしやすくて気軽に参加できる、短期間のインターンシップはありがたかったですね。
【Oさん】確かにそうですね。ただ、Sさんの話を聞いたことで、夏休み期間中に長期のインターンシップに参加しておけばよかったなと反省しています。
【Mさん】あと、インターンシップを選ぶときの基準というほどではありませんでしたが、サイトにインターンシップのマイページがある企業は、気分的に応募しやすかったです。参加希望日時の変更も、WEB上で気軽にできるので便利。電話での受付のみだと、日時変更のお願いなどがしづらいですからね。
インターンシップの多くが「選考あり」
一風かわった選考方法とは?
――インターンシップに参加する際、選考はありましたか?
【Sさん】はい。まずオンラインで、プログラミングのテストを受けました。その後、会社を訪問して面接に参加。ラフなスタイルで何も準備せずに行ったのですが、副社長や人事部長まで出てきたのには驚きました。しかも、面接が終わった後には、海外本社の担当者とのビデオ面談まであったんです。
【Mさん】まるで、実際の採用プロセスのようですね。Sさんのインターンシップ先ほどではありませんが、私が参加したインターンシップでも、選考を実施している企業が何社かありました。選考プロセスが一番多かったのは、ある金融企業。エントリーシートを提出した後、グループワークがあり、最後に集団面接という流れでした。そのほかの会社は、エントリーシートを提出するだけでしたね。
【Iさん】私が応募したインターンシップでも、エントリーシートによる選考を実施しているところが多かったです。ちょっと変わっていて印象に残ったのは、その会社が展開している店舗の課題とその改善ポイントをレポートにまとめる、という選考を実施している企業がありました。
【Oさん】私も、変わった選考の会社に出会いましたよ。自分らしさを表現した写真を提出するというものでした。「自分らしさを表現した写真」と言われても、どんなのを送ればいいのかわからなくて……。
【Sさん】結局、どのような写真を送ったんですか?
【Oさん】社会人のスポーツチームに所属しているので、ユニフォーム姿の写真を送ることにしました。
【Sさん】で、結果はどうだったんですか?
【Oさん】合格しました!
インターンシップの合否や内容で、企業イメージはどう変化する?
後編へ続く