event開催報告

2024.06.24第7回キャリアデザインカンファレンス 審査講評

企業と大学がタッグを組んだ
産学連携プログラムへの評価が高まっている

受賞法人のプログラム紹介や表彰式に続き、本アワードの選考委員を務める法政大学 キャリアデザイン学部 梅崎修教授による審査講評がスタート。各受賞プログラムの評価ポイントを振り返る前に、今回のアワード全体の傾向や特徴について語られた。

「応募法人数と応募プログラム数が過去最多を記録したこともあり、今回は前回よりも受賞のハードルがさらに上がったと言えるでしょう。そんななか、会場で受賞法人のスピーチを聞き、受賞したプログラムは選ばれるべくして選ばれたものばかりだと再確認しました。なかでも、企業と大学がタッグを組んだ産学連携プログラムへの評価が高まっていると実感しています」

また、「“専門性”も大きなキーワードになったと感じている」と振り返る梅崎教授。今回の選考で、学生たちが「プログラムに参加することで、どんな専門性が身につけられるか」を強く意識していることがわかったという。

「同時に、『どれだけ手厚い体験の場が用意されているのか』という点も、学生たちにとって重要な評価ポイントになっていると言えるでしょう。例えば、さまざまな体験ができるプログラムは、高評価につながる傾向が強いと感じました」

受賞プログラムをキャリアデザインのプロが講評
おおいに参考になるキーワードがズラリ

次に、各法人の評価ポイントについて、特徴的なキーワードとともに梅崎教授が解説していった。まず、優秀賞を受賞した日本総合研究所のキーワードは「専門×専門の最先端」だという。

「このプログラムの受賞からも、全体の講評で述べた“専門性”に対する学生の関心の高さがよくわかるでしょう。大学での学びの専門性を活かしながら、ビジネスの専門性に触れられるという掛け算によって、より高度な専門性が身につくのが魅力です」

同じく優秀賞に輝いた日本大学のプログラムでは、「バージョンアップの力」というキーワードを掲げた。学部創設当時から実施している生産実習にキャリア教育の要素をプラスしたことが、学生からの高評価につながったと分析する。

「そもそも、長年蓄積してきた経験値がベースにあるので、バージョンアップさせるだけで非常に充実したプログラムになります。『生産実習NOTES』や『生産実習SYSTEM』など、実習をサポートする独自ツールの存在も大きな魅力。かゆいところに手が届くきめ細やかなサポートが、学生から高く評価されたのではないでしょうか」

梅崎教授が「評価されるリアル」というキーワードを導き出したのは、優秀賞を受賞した博報堂/博報堂DYメディアパートナーズのプログラム。学生が評価するリアルとは何かを追求する姿勢が、とても印象的だったという。

「ビジネスの最先端について学べることに加え、一方的ではない固有性、コミュニケーションの重層性があるプログラム。さらに、競技性を持たせることで、学生たちがプログラムに没頭できたのではないかと感じています」

地方創生賞を獲得した久留米工業大学のプログラムは、産学官連携のいい成功例だと感じたという。地域や企業の課題を解決しながら、学生の学びにつながるプログラムを構築することは難しい。そのようななか、多くの関係者を巻き込みながら仕組みをつくりあげた点が学生から高く評価された。『コミュニケーションの設計』というキーワードが、成功のカギを握っていると梅崎教授は考える。

「デザイン集団らしく、空間設計というプロジェクト自体が、体験学習というコミュニケーションの場になっていると感じました。『ASURA』という組織があることによって学生の居場所が生まれ、プログラムの持続性が生み出されているのもポイントです」

カナダの大学の学生と2週間にわたる共同生活を通して企業の課題解決に挑む関西学院大学のプログラムは、文部科学大臣賞を受賞。その特徴は、「ダイバーシティ=創造性」というキーワードに集約されるという。

「一番の特徴は、キャリアの体験プログラムであると同時に、国際文化について学ぶダイバーシティの教育プログラムだという点です。多様な価値観が融合することでクリエイティビティが高まるという成功体験を大学時代に味わえることが、学生にとって大きな魅力に映ったと言えるでしょう」

大賞を受賞した、旭建設を中心とする5社の共同プログラムのキーワードは「企業間協力の力」。梅崎教授は、「すごいプログラムが出てきたな」と驚きを隠せなかったという。

「各社がそれぞれの得意分野を活かし、しっかり分業がなされており、さまざま体験ができるのが魅力です。LINE WORKSのノート機能を『実習日誌』としてアレンジするなど、フィードバックに関する工夫も素晴らしい。大企業や有名企業のプログラムだから学生の評価が高くなるわけではない、ということを再確認させられました」

学生たちの評価ポイントは毎年それほど変わらない
“学びの過程”を丁寧に設計することが大事

今回の受賞プログラムを見てもわかるように、毎年「キャリアデザインアワード」には個性的かつ独創的なプログラムが次々に登場する。けれども梅崎教授によると、学生たちがプログラムを評価するポイントそのものは、毎年それほど変わらないという。

「学生から評価されるプログラムに共通しているのは、“学びの過程”を丁寧に設計していること。特に、『事前学習→就業体験→事後学習』という3ステップがスムーズに接続されていることが重要です」

また、かつて優秀賞を受賞した旭建設が、5社共同プログラムへと内容をブラッシュアップさせて今回大賞を受賞したことからもわかるように、プログラムの改善努力というのは学生たちに必ず評価されるという。

「特に今年は、理系のプログラムの充実度が高く評価されました。専門性に加えて、蓄積されたノウハウや改善力が花開いたように思えます。今後は、文系向けのプログラムの発展も楽しみにしたいところ。そして、理系、文系を問わず、キャリア教育の多様性に期待したいと考えています」

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