event開催報告

2024.06.24第7回キャリアデザインカンファレンス キーノートスピーチ

キャリアデザインスキルの習得をコンセプトとした産学連携プログラム

前回大賞に輝いたのは、株式会社DAY TO LIFE(旧:株式会社麦の穂)と椙山女学園大学の「産学連携による『キャリアデザインスキル習得プログラム』とキャリア形成のための『リアルな職場体験』」。主催者代表による開催報告のあと、株式会社DAY TO LIFEの執行役員 経営管理本部 本部長 上田勝幸さんによる、キーノートスピーチが始まった。

「当社は、できたてのシュークリームが味わえる『ビアードパパの作りたて工房』を中心に、さまざまなスイーツブランドを展開している会社です。“日日是好日(にちにちこれこうじつ)”という禅僧の言葉から、どんな1日も大切にして日々を生きようというメッセージを着想し、昨年、社名をDAY TO LIFEへと変更しました。一方、椙山女学園大学は7学部11学科、4研究科を擁する女子総合大学。『人間になろう』という教育理念を掲げ、ライフステージが変化しても女性が活躍し続けられる、トータルライフデザイン教育を実践しています」

大賞を受賞した産学連携プログラムのコンセプトは、キャリアデザインスキルの習得。夏5日間+秋2日間+春2日間のトータル9日間にわたるキャリア教育をベースとした職業体験を通して、自己理解と仕事理解を同時に深めることができるプログラムだ。

「大きな特徴は、店舗運営から商品開発、マーケティング、DX戦略、海外マーケティング、新業態プロデュースまで、各部署の仕事を体験できると同時に、多くの社員と交流できることです。また、椙山女学園大学と連携して事前・事後学習を充実させ、学生たちがリフレクション(内省)を通して、なりたい自分を見つけるサポートを行いました」

三省合意でインターンシップのあり方が変わるなか
企業価値向上につながる「3つのKPI」を設定

2022年、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の三省合意による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の改正がなされた。それにより、開催日数が5日未満のプログラムは、インターンシップとみなされなくなったのだ。その結果、企業の負担がより多くなり、自社でインターンシップを開催する判断がより難しくなったと言える。そんななか、DAY TO LIFEではインターンシップは企業活動において極めて重要なツールであると位置づけ、企業価値向上につながる「3つのKPI」を設定した。

「1つ目の指標は、“経営課題の解決”です。職業体験の場を提供するというスタンスではなく、対等な立場で学生にリアルな経営課題を開示。若手の考えや発想を積極的に取り入れ、課題解決の糸口にすると同時に、会社発展のヒントを得ようという姿勢で臨むことにしました」

同社が掲げた2つ目の指標は、“社員教育につながる仕組み”だ。学生と触れ合うことで初心に立ち返り、モチベーションが再度高まるなど、インターンシップは社員にもポジティブな影響を及ぼす。ただ、上田さんによると、それだけではインターシップを存続させるエビデンスとして不十分だという。

「当社では、プログラムと社員教育の仕組みを融合させ、社員の成長を可視化し、人事評価に反映する仕組みを取り入れました。それによって、経営サイドにインターンシップを行うメリットを数値で明確に示すことができ、社員のさらなるモチベーションアップにもつなげることができると考えています」

また、前回大賞を受賞したインターンシップを通して、企業と大学が理念を共有することで優れたプログラムが誕生することを肌で感じた上田さん。その経験をもとに、“プログラムの中心に理念を掲げる”という3つ目の指標が生まれた。

「椙山女学園大学との産学連携プログラムでは、女性のキャリア教育という

社会課題を共通の理念としました。『学生のため』という考え方を超え、CSR(企業の社会的責任)という観点に立ち、どのような社会を実現したいのかをプログラムの柱にしたのです。その経験をもとに、理念を掲げることをKPIに据えました」

社会課題の解決につながる理念の共有がサステナブルなインターンシップへとつながる

椙山女学園大学との産学連携によって、インターンシップの質を高めることができたと振り返る上田さん。大賞受賞企業の立場から、産学連携インターンシップが学生にとって、どのような効果を与えるのかを語ってくれた。

「1つ目は、学生たちのキャリアデザインスキルの質の向上です。大学や授業との連携によって、一貫したキャリア教育を行うことが可能に。その結果、学生たちは仕事理解と自己理解を同時に深めることができるでしょう。2つ目は、学生のリフレクション(内省)の底上げです。大学での学びと経験が社会に活かせるという実感が、専門分野のさらなる探究へとつながります。3つ目は、就労意欲の質そのものを上げることです。働くことへの期待感が高まるプログラムを提供することで、学生たちはよりポジティブな気持ちで就職活動に臨むことができるようになると考えています」

上田さんは、学生にとって有意義なプログラムを提供するためには、ある一定の品質管理(QC)の基準が必要だと感じているという。クオリティを担保することで、大学はキャリア形成支援を充実させることができ、学生はインターンシップで培ったキャリアデザインスキル、課題解決力、行動力を活かし、より前向きに将来のキャリアを描くことができるようになるからだ。

「質の高い産学連携インターンシップを実施するためには、企業と大学で理念をしっかり共有して、どのような社会課題の解決をテーマとし、どういった社会にしていきたいのかを明確にすることが大事。そうすることが、学生に大きな成長を提供できるプログラムの開発につながり、社会的背景や経済環境が変化しても継続的に発展し続ける、サステナブルなインターンシップへとつながっていくでしょう」

    「学生が選ぶ
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