学生にとって教育効果が高く職業観涵養につながる質の高いインターンシップを評価するアワードとして、2018年にスタートした「学生が選ぶインターンシップアワード」。第6回となる今回から「キャリアデザインプログラムアワード」と名称を変更し、毎年恒例の学生たちによる選考会が開催されました。
選考前に、さまざまな業界の企業や団体から応募があったインターンシップを始めとするキャリア形成支援プログラムについて、3,755名もの学生にアンケート調査を実施。その結果を踏まえて、学生選考会は実施されました。
2023年2月に3日間にわたって実施された学生選考会には、100名以上の学生たちが参加。個人評価やグループでのディスカッション、評価ポイントの発表などが行われました。参加者の本音がダイレクトに反映された、選考会の様子をレポート。学生たちのキャリアデザインプログラムに対する、リアルな声に注目してみてください。
個人で各プログラムへの評価を行った後、グループでの評価作業へ
学生選考会は、オリエンテーションからスタート。その目的や当日の流れなどについて、学生たちは事務局メンバーからレクチャーを受けました。次に、各グループに分かれて一人ずつ自己紹介を実施。それが終わると、さまざまな企業や団体からエントリーされたプログラムについて、個人評価を行っていきました。
評価の材料となるのは、プログラムに関する説明資料や、実際にプログラムに参加した学生たちのアンケート結果です。企業や団体から提出された資料とじっくり向き合いながら、学生たちは評価を行っていきました。
個人での評価が終わると、各グループでの評価作業へ。ファシリテーターやタイムキーパー、評価フォームへの入力担当といった役割分担を決めたうえで、まずは一人ずつ順番に個人評価の結果を発表していきました。さまざまな視点からの意見や感想は、学生たちにとって大きな刺激になったようです。
各メンバーの評価を共有した後、高評価や低評価につながるプログラムについて、グループ内でディスカッション。積極的に意見交換を行いながら、グループとしての評価軸を明確にし、全体の意見をまとめていきました。最終的には、「ディスカッション後評価ランク」を確定し、その理由やコメントをフォームに集約。白熱した議論とともに行われた、グループ評価作業は終了しました。
各グループの代表者が評価を発表!学生が大切にする選考ポイントが明らかに
そして、グループごとの最終評価を全員の前で紹介。具体的には、選考を通してプログラムの評価がアップもしくはダウンしたポイントを、各グループの代表者が発表していきました。多くのグループにとって高評価の要因となったのは、フィードバックの手厚さ。「自分を客観視できるいい機会になるので、丁寧にフィードバックをしてくれるプログラムは好印象」という声がたくさんあがりました。
「個別にフィードバックをもらえるとうれしい」「口頭だけでなく書面でフィードバックをくれるところは、さらに魅力がアップ」といった意見も。また、「フィードバックの回数やタイミングも評価に大きな影響を与えた」というグループもありました。学生たちは単にフィードバックの有無だけでなく、その内容やクオリティも気になっているようです。
プログラムを通して、どれだけ多くの社員や職員と関われるかも、高評価につながるポイントのよう。「さまざまな部署の方と交流できると、職場の雰囲気がわかりやすい」「若手だけでなく、中堅、ベテランなど、幅広い階層の社員や職員と接することで、将来のキャリアイメージがわきやすい」といった意見がありました。
また、プログラムのために社員や職員に協力を仰ぐことは、多くの企業や団体にとって楽なことではありません。だからこそ、「たくさんの方と接する機会を与えてくれるところは、学生のことを考えてくれているんだ、と印象がアップします」という声もあがりました。
もちろん、プログラムの内容そのものもダイレクトに評価に結びつくポイントのよう。「実務をリアルに体験できるプログラムだと、入社後の自分の姿をイメージしやすい」「他では体験できないような独自性の高いプログラムなら、ぜひ参加したいと気持ちが高まる」といったように、“リアル”“オリジナリティ”が高評価を得るポイントになっていました。
学生たちにとって、魅力的ではないプログラムとは…
高評価につながらなかったプログラムは、「フィードバックがない」「触れ合える社員が少ない」「プログラムが漠然としていて独自性がない」といった、評価アップのポイントを外したものばかりではありません。
例えば、「言われたことをやるだけで主体的なアクションが起こせない」「一方的で双方向のコミュニケーションが取れない」といったプログラムは、評判がかんばしくないようです。この事実からは、キャリアデザインプログラムに対する学生たちの意識の高さを伺うことができました。
また、マイナス評価として「参加することで何が得られるのかがわかりづらい」「その先の就職活動に活かせそうな気がしない」といった声も。プログラムを通してどんな価値を得られるのかということも、学生たちが注目しているポイントと言えるでしょう。
そのほか、「期間が長すぎると参加しづらい」「さすがにもうオンライン開催のみというのはなしだと思う」「参加するのに高額な費用がかかるのはちょっと…」「参加条件があまりに厳しいと敬遠してしまう」といったように、プログラムの内容以外の要素も評価に大きな影響を与えていました。
まとめ
今回の選考会を通して見えてきたのは、学生たちはプログラムの内容そのものだけに注目しているわけではないということ。高評価のポイントとして、多くのグループが「フィードバックの手厚さ」「どれだけ多くの社員や職員と関われるか」をあげていたことからも、そのことがよくわかりました。
就職活動に向けてインターンシップなどのプログラムへの参加が当たり前となった今、学生たちのニーズは多様化してきているという印象を受けます。ただ、高評価を獲得したプログラムに共通しているのは、“学生ファーストの視点”。学生選考会を通して伝わってきた学生たちのリアルな声は、プログラムをブラッシュアップしていくうえで大きなヒントになるはずです。ぜひ、今後の参考にしてみてください。