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生和コーポレーション株式会社学生一人ひとりに向き合う地道な努力が満足度の高いインターンシップを実現

生和コーポレーション株式会社

学生一人ひとりに向き合う地道な努力満足度の高いインターンシップを実現した

361法人​482プログラムのご応募をいただいた第3回学生が選ぶインターンシップアワードにおいて、見事、大賞に輝いたのは総合建設業の生和コーポレーション株式会社でした。実施回数も基本的には1回のみで、参加人数も20名前後と決して大々的なインターンシップだというわけではありませんが、学生一人ひとりの成長に向き合った丁寧な取り組みが、大賞という高評価を得る原動力となりました。同社のインターンシップ改革の担い手として活躍してきた人事部の横川さんに、受賞の率直な感想、インターンシップの内容などについてざっくばらんに語っていただきました。

お話をしてくれた方)

横川 翔さん/人事部 主任

規模の小さい企業が受賞したことに意味がある

―このたびは大賞の受賞、誠におめでとうございます。

横川さん:ありがとうございます。大賞に輝いたことで弊社でも学生たちが求めているインターシップを提要できていることがわかり、運営する側としては非常に嬉しく思います。振り返れば過去2回、大賞は大企業が獲得していただけに、規模の小さい企業である弊社がまさか受賞するとは思わず、電話で第一報をいただいたときは信じられない気持ちで一杯でした。その後、新聞等で大きく報じられると、経営陣も含めて社内のあちこちから喜びの声が上がるようになると同時に、インターンシップに参加してくれた学生からもお祝いの言葉が数多く寄せられ、改めて大賞を受賞した事実を実感しているところです。

そもそもアワードに関してはかねてから存在を知っており、過去の受賞企業の取り組みはインターシップのプログラムを作る上で参考にさせていただいていました。ただ、受賞企業の多くを占める大企業ならば数百のコースを設定できるでしょうが、我々のような企業ではそのまま実行することができず、さらなる工夫が必要だと感じていました。だからこそ、弊社のような規模の企業が大賞を獲得したのは意味あること。大規模なことができなくとも、工夫次第で質の高いインターンシップを形にできるという一つの先行事例になればと思っています。

 

―どのような工夫を施したのでしょうか?

横川さん:インターンシップの目的の設定が重要だと考え、教育効果と学生の就業意識を高めるとともに、会社紹介ではなく学生にとっての学びを深めることに重点を置くように意識しました。同じテーマでの学びであっても、学生個々によって成長度合いは変わるもの。学校のクラスを思い出してみてください。同じ授業を受けているのに、クラスメイトによって成長の仕方はガラリと異なっていたはずです。足並み揃えたメニューではなく、一人ひとりの成長を考えて満足度を高めていったことが、今回、評価を受けたポイントなのだと思っています。

―具体的にインターンシップの内容を伺う前に、御社のプロフィールを教えて下さい。

横川さん:業種としては総合建設業(ゼネコン)に位置づけらており、無借金経営のまま2020年には創業50周年の記念すべき年を迎えました。建設業といっても様々な形態が存在しますが、弊社が得意とするのは賃貸不動産を中心とする集合住宅。既に9万8000戸以上の実績を残しています。

特徴的なのは完全オーダーメイドでの設計を展開している点にほかなりません。オーナーのこだわりを丁寧に反映するモノ作りが高く評価され、「賃貸住宅に強い建設会社年間着工数ランキング」においては、12年連続で地主営業戸数全国第1位となっています。さらには設計や施工を自社でまかなうのはもちろん、完成後のメンテナンスや各種不動産手続き、入居者の獲得・管理などもワンストップで手掛けていることも弊社の大きなアドバンテージです。

 

賃貸住宅の場合、オーナーが最上階等に住む割合が4割に達していることから、オーナーの住まいを作るケースも少なくありません。賃貸住宅とオーナー居室のデザインが真逆の方向性というユニークなケースも見受けられ、社員たちも作り込んでいく楽しさを味わうこともできます。また、場所によってはビル内に商業施設を併設させたり、在宅勤務が増加した社会事情を鑑みて、オンライン就業等をテーマにした賃貸住宅の提案も進めています。オーダーメイドが軸となっているからこそ、土地土地の暮らしにあった住まいを柔軟に提案することができるのだと自負しています。

学生の成長にとことん向き合うプログラムを構築

―インターシップに注力した経緯を教えてください。

横川さん:営業や設計、工事、本社部門など多岐にわたる人材が必要な業態ではありますが、採用上の課題となっていたのは建築やデザインといった技術系の人材の確保でした。理系の場合、早期に就職活動を終える学生が多く、訪問する会社も5社から10社程度。しかし、建設業は世の中に50万社存在しており、その中から10社に選ばれないと応募さえしてもらえないというのが悩みの種でした。

 

こうした課題に対応していくべく、3年ほど前から新卒採用を強化するとともに、インターンシップに関しても、建築系の学生をターゲットにリニューアルを開始。従来、弊社でもインターンシップは開催していたものの、建築系などの大学からの受け入れ希望に応じ、単位として認定される就業体験型インターンシップを10日間の日程で行っていました。これを一般的なインターンシップの形態に変更するとともに、せっかく学生に来社していただくのであれば、学生にとって満足してもらえる形にしていくべく、採用目的というよりは、最初から学生の成長を純粋に後押しする形態としています。

 

―どのような形で行われていますか?

横川さん: 10日間という長期のプログラムという形は踏襲しつつ、様々な要素を組み入れています。現在でいえば、初日はガイダンス・目標設定などを通してインターンシップの目的を明確化した上で、4日目までは職場体験を実施します。設計でいえば、費用や利益計算、タイムスケジュール踏まえ、実践的な設計手法を身に付けていきます。5日目にはモデルルームや工事現場の見学、ビジネススキル研修を挟みます。

 

後半は実際のクライアントから上がってきた課題をベースに、学生の挑戦意欲を刺激するテーマでのグループワークを4日間にわたって開きます。学生にとってリアルな体験をしてもらうべく、実際に存在するクライアントからの依頼に応えるというテーマ設定になっており、現地調査、コンセプト立案、資料作成、コンペ形式のプレゼンなどを実施しました。2019年度は「100年先のまちづくり」をテーマに、東京・神田にある創業130年の歴史を持つ「老舗オーダーメイドスーツ」ブランドの本社ビルの建替えに関して、店舗コンセプトや外観・内観デザインに関して考えてもらいました。

 

最終日にはフィードバックや懇親会を行いますが、ここで学生ごとに個別の情報提供やアドバイスなども行っています。参加者は例年10~20名程度とごく少数ですので、キメ細かな対応をしていくことができています。

 

―今の形に落ち着くまでは、試行錯誤を繰り返したとお伺いしました。

横川さん:改革1年目はプログラムのボリュームを増やすことに重きを置きましたが、学生の満足度は高かった反面、成長の実感という意味では人それぞれ異なるという課題が生じました。2年目は目的意識を持ってもらえるような仕組みを作り、事前の目標設定を充実化させるとともに、フィードバックの仕組みも強化。しかしながら、学生個々のモチベーションに左右される面が大きかったですし、運営側も手が足りず、学生にとってしっくり来るような形での指導もなかなか提供できないでいました。

「目標管理シート」と「自己紹介シート」がコミュニケーションの幅を広げる

―受賞した年でもある3年目には、どのような仕組みを導入しましたか?

横川さん:学生個別の成長機会の創出を大きなテーマに掲げ、その一環として「目標管理シート」を作りました。将来の大きな目標を立てた上で、インターンシップを経てどのような自分になりたいのかを書き込んでいくとともに、その実現のための日々の行動目標を複数、記入していく形態を取っています。10日間の開催期間中、毎日約10分間の振り返りの時間を設け、その日に行動目標が達成できたのかを「○△×」の三段階で評価して1日を振り返ります。学生を個別に支えるメンター役の社員らとシートの結果を共有しながら、明日からは目標達成のために具体的に何をするべきかを毎日、丁寧に考えていきました。

 

もう一つ効果的だった取り組みが「自己紹介シート」。インターンシップに参加するにあたり、学生個人がどんな人間なのかを周囲に知ってもらうために書き込むシートですが、一般的に“自己紹介”というと、出身地や所属する学科といった属性を書き込むことに終始しがちだと思います。一方、この自己紹介シートでは、自分の好きなこと――好きな音楽や本、趣味、食べ物などを具体的に書き込んでもらいました。

 

社員にも同様の形で自己紹介シートを書き込んでもらい、お互いの好きなものを見える化した上でインターシップを開始。おかげで相手に対して共感するポイントが増え、会話がおのずとはずんでいくようになりました。「目標管理シート」も含め、会話するきっかけが数多く存在していることから、学生と社員の関係性がいつも以上に深まり、コミュニケーションが活性化されるようになったとの手応えを得ています。

 

―社員のみなさんはインターシップに対してどんな思いを抱いでいるのでしょうか?

横川さん:通常業務をしつつインターンシップに対応しれくれている社員たちには本当に感謝しています。社員たちの中からは「仕事との両立は大変だけれども、積極的に協力したい」との声も聞こえてくるようになりました。理由は様々でしょうが、就業体験の指導内容に関しては、担当する社員本人に自由に任せているのが大きいかもしれません。いかなるプログラムがふさわしいのか、教える本人がテーマを掘り下げ、自発的に作っているからこそ思い入れも強くなり、積極的に運営したい気持ちが芽生えるのでしょう。そうした前向きな社員たちを起点におのずと協力の輪が広がり、アシストしてくれる社員が増えています。

 

受賞後に嬉しかったのは、社員たちが喜んでくれたこと。自力で学生が求めるニーズに応えた結果ですので、社員たちは自信を深めることができました。もっと広い視点でいえば、社会が求めるインターシップというものの企画運営にかかわることで、社会人として形に残るもの、世の中に評価されるものを作ったという自信も得られたと思っています。大賞を受賞したのは、そんな姿勢の社員たちの励みとなったのは間違いありません。

 

―学生からはユニークな反応も返ってきているそうですね。

横川さん:参加した学生の中には、人事担当である私たちに他社の選考の相談をしてきたり、「カレーを作るので食べませんか?」なんて誘ってくれたりする人もいます。10日間のプログラムを通して、かなり近い関係性が構築できたのだと感じています。中にはインターンシップに参加したのをきっかけに大学院に進学をしたという人もいます。採用上はメリットのないことではありますが、本人のキャリア支援に役立っているのですから、学生一人ひとりの成長に向き合ったインターンシップを開催した意味があると感じています。

社会のために成長支援型インターンシップを広げたい。

―今後のインターンシップの改善点は?

横川さん:大賞に輝いたことで応募者数は例年以上多くなっているものの、10~20名、最大でも30名で10日間という形は変えず、その中でトライ&エラーを繰り返しながら、より良いインターンシップを作っていきたいと思っています。新型コロナウイルスの影響のもと、インターンシップの形も変化させていかねばなりませんが、いい形でブラッシュアップできればと思っています。

実は弊社のインターンシップは、社内のすべての教育研修につながっています。事実、入社時研修、半年後研修、職種別研修、メンター研修で得られたノウハウはすべてインターシップに活用していますし、反対に社内研修にインターンシップの成果を還元することもあります。会社にかかわる人全員の能力開発のサイクルの中にインターンシップが位置付けられているだけに、長きにわたってブラッシュアップを続けていきたいですね。

 

―インターンシップの運営に悩む企業にアドバイスをお願いします。

横川さん:学生にとっての学びにフォーカスした弊社のインターンシップは、決して規模が大きなものではありませんし、テーマもごく限られた形になっています。しかし、学生一人ひとりとしっかりとした気持ちで向き合えば、この規模の会社でも満足度を高める質の高いインターンシップを実施することができました。もし新たにインターンシップを新たに始めてみようという場合は、まずは受け入れてみることから始めてください。来社した学生を見てニーズを探り、次につなげていくように心がけてみてはいかがでしょう。

 

今以上により良いインターンシップにしたいというのであれば、難易度を柔軟に変えていくのがおすすめです。弊社では学生の成長や限界突破する機会が大切だと考えていることもあり、まずは高めのハードルを用意しておいて、現場での反応を見ながらハードルを上下させていくという運用を行っています。

 

―アワードに対する要望はございますか?

横川さん:ビジネスの速度が上がり続けている今、学生のみなさんにはその流れを体感する場、社会で生きる基礎を身に付ける場として、インターンシップを活用してほしいと思います。ただ、学生個々によって必要な環境や学びの内容は異なるからこそ、色々な企業がインターンシップを開催して選択肢を増やしてくべきだと思います。

成長支援に特化したインターンシップという場では、学生はもちろん、その組織にいる人の成長のきっかけを提供することになり、引いては企業自体も大きく成長していくことにつながります。このような形のインターンシップが増えれば、社会がいい方向に進むでしょうし、アワードがそうした試みを牽引するプラットホームになってくれるものと期待しています。

「学生が選ぶ インターンシップアワード」
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