株式会社ニトリホールディングス 受賞レポート

「君の夢は、君を創る。」という
フィロソフィーに基づいた留学生向けのプログラム

「お、ねだん以上。」の価値提供を追求し、家具・インテリアの企画から製造・物流・販売までをワンストップで手がけるニトリホールディングス。今回アワード大賞を受賞した「日本で働くキャリアを考える5日間 ~ 留学生のためのキャリア支援プログラム ~」は人材の多様化が進む日本において、時代のニーズを先取りした先進的な取り組みと言える。

日本での就職を希望する留学生は多い一方で、日本語のスキル不足や就職活動の仕組みへの理解不足により、思うように準備を進められないケースも少なくない。そうしたなか、就業体験を通じて日本で働く姿を具体的に描ける機会を提供することを目的として、「留学生のためのキャリア支援プログラム」が誕生した。プログラム実施当時、ニトリグループの新卒採用責任者を務めていた天野さんは、「君の夢は、君を創る。」のフィロソフィーに基づき、留学生が自身のキャリアと真剣に向き合い、将来像を主体的に描くための機会となるようプログラムを設計したという。

「創業者である似鳥昭雄はよく、『物や金は残らないが、人だけは残る』『会社のためではなく、自分のために働きなさい』と語っています。キャリアのオーナーは自分自身であるという考えを、50年以上前から社員たちに伝え続けてきました。『君の夢は、君を創る。』というフィロソフィーには、社員と同じように学生の夢にも真摯に向き合い、成長を後押ししたいという想いが込められています」

「留学生のためのキャリア支援プログラム」は、自己理解を深めるワークから始まり、店舗実務を通じて担当者・フロアマネージャー・店長と段階的に視座を高めていく構成が特徴。また、日々の振り返りと個別面談による丁寧なフィードバックや、多様なバックグラウンドを持つ社員との交流を通じ、留学生が日本で働く姿をよりリアルにイメージできるよう設計されている。留学生のキャリア支援に特化した完成度の高いプログラムとして多くの支持を集め、アワード大賞の受賞につながった。

必要な力を見極めるCanの育成以上に
自分がどうありたいかを定めるWillを重視

一般的にキャリアを捉える際には、「Will・Can・Must」という思考プロセスが用いられる。まずWillで自分がどうありたいかを定め、その実現に向けてCanで必要な力を見極め、最後にMustで何をすべきかを整理するという逆算型の考え方のことだ。インターンシップは就業体験が中心になるため、多くの企業はCanの育成に重点を置く傾向がある。ところが同社では、プロセスの起点となるWillを何より大切にしているという。

「もちろん、私たちもCanの育成に力を入れていますが、重視しているのはその前提となるWillです。まずは学生とともに過去の原体験を振り返り、そこから浮かび上がる価値観や想いを言語化していきます。それを『働く目的』へとつなげ、社会のなかでどのように活かしていくのかを一緒に考えていくのです。キャリア支援の第一歩となる『ここから始まる!自分発見ライブ』には、年間で約3万人の学生が参加。ありがたいことに、『就活を始めるならまずニトリのインターンシップから』という口コミが広がり、大学関係者にも認知が広がりつつあります。当社の採用担当者が、大学のキャリア教育の授業に登壇する機会も増えてきました」

昨今では低学年からインターンシップに参加する学生が増加傾向にあるものの、同社では低学年向けにCanを育成するためのプログラムを設けていない。時間に余裕のある時期だからこそ、より徹底してWillと向き合う構成としている。その中で得た価値観や想いは、就職活動だけでなく、大学生活にも活かすことができるだろう。また、インターンシップはしばしば就職活動の早期化を助長すると言われるが、同社ではその本質を別の側面に見いだしている。学生が自身の適性や将来設計を考えるための場として位置づけているのだ。

「企業は、若者の未来を創る覚悟と、社会課題の解決に向き合う姿勢を持つべきだと考えています。そのため、私たちは会社都合ではなく、社会と接続されたインターンシップを目指しているのです。『留学生のためのキャリア支援プログラム』も、こうした考えから生まれました。少子高齢化や労働力不足、外国人労働など、社会にはさまざまな課題があります。大学関係者からは留学生へのキャリア支援が追いついていないという声があり、留学生自身も学びをどのように仕事へ結びつければいいのかイメージしづらいという悩みを抱えがち。こうした状況を踏まえ、『君の夢は、君を創る。』というフィロソフィーのもと、留学生向けのインターンシップを開発し、昨年春から実施しています。なお、このプログラムは留学生の採用を強化するための施策ではなく、社会と接続されたインターンシップを実現するための取り組みです」

プログラムの全資料を一般公開
キャリア支援の取り組みを社会全体へ広げていきたい

大賞受賞プログラムは、DAY1の「ニトリを知る 自分を知る」、DAY2の「現場を知る」、DAY3の「課題を発見する」、DAY4の「海外事業の仕組みを変える」、DAY5の「解決案提言 決意表明」という流れで進んでいく。自身のキャリアを考え、就業体験でリアルを知り、フィードバックやフォローアップを通じて未来に活かすという、学びと実践が凝縮された5日間となっている。プログラムの運営に携わった大滝さんは、その特徴について次のように語る。

「店舗担当者、フロアマネージャー、店長、海外出向といった段階的な役割の変化を、実際の業務に近い形で体感できる構成で、現場での意思決定からマネジメント、さらにはグローバルな事業展開へと視座を高めていくプロセスを追体験できます。また、単なる業務理解にとどまらず、それぞれの立場で求められる視点や判断軸の違いを実感することで、キャリアステップをより深く理解できるでしょう」

プログラム期間中、社員が留学生一人ひとりにしっかり伴走するのも大きな特徴だ。独自のフィードバックシートを活用し、個人目標の設定や毎日の振り返り、社員のフィードバックを実施。さらに、個別面談を通じて悩みや不安に寄り添うほか、新たな気づきを促し、どのような環境でもやりがいを持って働けるよう支援も行っている。

「こうした取り組みをより多くの方々に知っていただくため、今回の応募にあたり、当社ではプログラムの全資料を一般公開しました。キャリア支援を一企業の取り組みにとどめるのではなく、情報を広く共有することで、社会全体への実践的な広がりにつなげていきたいという想いからです。複数の大学からも、『留学生への理解が深まる貴重な資料』という評価をいただきました」

「働く目的や自分が目指したい姿が明確になった」「短期的な視点ではなく、10年後を見据えたキャリアを考えられるようになった」「自分が将来どのように社会や企業に貢献できるかを具体的に描けるようになった」など、「留学生のためのキャリア支援プログラム」は参加した留学生たちからも高評価を獲得。そういったリアクションが、大滝さんたちにとって大きなモチベーションになっているという。誰もが自らのキャリアと向き合い、未来を主体的に描けるよう支援する――。そんな想いのもと、ニトリホールディングスの挑戦はこれからも続いていく。

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