信州大学は、1949年に設立された国立大学。広域型キャンパスという特徴を持つ総合大学で、長野県内4市内、5つのキャンパスに約10,000人の学生が通っている。「世界に繋がる信州大学」を理念に掲げ、地域のみにとどまらず、地球規模の課題解決に向けた教育プログラムを展開している。
富山大学は1949年に複数の高等学校や専門学校が統合されて発足した国立大学。全国各地から約9000人の学生が通い、学部の学生数は北陸最大だ。「人間尊重の精神」を基本理念に掲げ、富山の豊かな文化資源や薬業の歴史、コンパクトシティ計画など、富山ならではの環境を活かした教育や研究を世界に向けて発信している。
金沢大学は、「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」という教育理念を掲げ、1949年に創立された国立大学。学部学科よりも幅広い学域学類制を採用し、入学後に自分の興味に合ったテーマを探しながら学べる点が特徴だ。角間キャンパスは全国の国立大学で2番目に広く、同じキャンパス内で他学類の学生と共に学ぶことができる。医学専門の宝町・鶴間キャンパスと合わせて約10,000人の学生が通っている。
地方創生賞を受賞した「ENGINEインターンシップ」は、3大学が地域を超えて手を取り合い誕生したプログラムだ。2020年から始まった文部科学省の地方創生人材育成事業の一環として開発された。人口減少を目の前にしたいま、地域の資源を再定義し、再活用できる人材を育成することを目的としている。3地域の学生と企業が共に地域課題に向き合い、課題解決の提案まで一貫して取り組んだ。プログラムを受講するだけで終了するのではなく、修了生はメンターとして企業と教員との橋渡しを行う役割を担う。プログラムで得た知識やノウハウを後進の育成に役立てられるようにしているのも大きな特徴だ。大学間連携による新しい学びの場を創出し、実社会で通用する思考力や実践力を育むプログラムとして高く評価され、地方創生賞に選ばれた。
地方創生に求められる力を育成することを目的に行われたENGINEプログラムには、各大学から8名ずつ、計24名の学生と、メンター役の3地域の企業が集まった。「リテラシー強化」「 キャリア形成」「 実践力強化」という 3つのフェーズをもとにカリキュラムを編成し、企業メンターや大学教員がサポートしながら6チームが6ヶ月にわたり講義や実践学習を行った。キャリア形成フェーズでは「大しごとーく」というイベントを3大学で開催し、企業と学生が対話しながら自身の価値観や地域の実践例を共有できる場を設けた。
「このプログラムの中では、”知る・ 関心を持つ・関わる・共感する・共同する”という一貫した流れの中で人材育成を行いました。一つのプログラムで完結するのではなく、卒業後を見据えて人材育成をしていくことを心がけております。その中でも 特にENGINEインターンシップの取り組みは、このプログラムの中での山場ということで実践をしました」
3地域を横断しながらプログラムを円滑に勧める上で、大学・学生・企業を繋ぐコーディネーターも重要な役割を果たしている。夏季休暇を利用したフィールドワークや合宿など、オンラインにとどまらない多彩な学習環境を提供することで、地域課題への理解を深めながら実践的な課題解決の提案ができるようサポートしている。学生と企業それぞれのニーズを把握し、双方がwin-winの関係を築きながら、学生の成長を高められるようにしているそうだ。
「コーディネーターが、企業と一緒に地域の課題と企業の課題を洗い出し、学生さんにはどの部分に向き合ってもらうべきなのか考えながら課題設計を行いました。このプログラムも6ヶ月で終わりではありません。学生さんがその後、実習ゼミとして調査を継続して、学会で発表するなど、課題の提案にとどまらず実行まで行えるようなプログラムになっております 」
ENGINEプログラムは、学生と企業の接点を提供する機会にもなっている。地域企業の人材担当者と経営者に「地域の変革人材になるために必要な項目」をヒアリングし、その内容を8つの項目にまとめ、学生とメンター企業がともに課題へ取り組んだ。学生は月に1回チームのメンバーや企業メンターからフィードバックを受け、自身のありたい姿に6ヶ月間じっくりと向き合うことができる。プログラムを終えた多くの学生が自身の成長を実感しているそうだ。メンター企業と学生が深く関わり合いながら課題に向き合うことで、学生がキャリアの選択肢として地域の企業を志望する傾向も見られた。
「ENGINEプログラムはこれで終わりではありません。ENGINEプログラムを漢字の”円陣”に置き換えて、プラットフォームの構築を進めています。このメンバーには卒業した学生も含まれます。これまでの学びを学生だけに留めず、卒業しても社会人になっても続けられるように、大学がその役割を担うということも今後必要ではないかと考えております。このENGINEプログラムの中でも、修了した学生が次の学生の成長を支え、サポートするメンターとしての役割を果たしてくれています。これを学生の中だけで終わらせず、社会とつながって引き続き実行していきたいです。 今後も3大学での連携を続けながら、さらにプログラムを進化させたいと考えております 」
ENGINEプログラムでは地域企業と深く絆を築きながら、自身の成長と進路にじっくりと向き合うことができる。地方では首都圏への人材流出が課題になっているが、馴染みのある地域や魅力的な地方への愛着を再発見できるこの取り組みが、地方創生への大きな一歩となるだろう。
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