企業の採用活動において、すでに重要な役割を担っているインターンシップ。25年卒からインターンシップで得た個人情報を条件付きで採用活動に利用できるようになるなど、インターンシップと採用活動が年々連動するようになってきました。そのようななか、より多くの学生にとって魅力的なプログラムを展開するには、どうすればいいのでしょう。10以上のインターンシップに参加したという23年卒の大学4年生たちの座談会を通して、学生が求めるインターンシップの在り方を紹介します。彼らのリアルな声に耳を傾け、ぜひ今後のインターンシップの企画や運営の参考にしてください。
参加メンバー
Kさん(学習院大学4年生・文系)
Sさん(慶応義塾大学4年生・文系)
Iさん(早稲田大学4年生・文系)
インターンシップへの参加はもはや常識!
全員が10社以上に参加
――皆さんは、何社ほどのインターンシップや仕事体験に参加したのですか?
【Kさん】私は業界や職種を特に絞らず、メーカーからIT企業、商社まで、10社以上に参加しました。
【Sさん】私も10社以上です。Kさんと同じで業界に対するこだわりは一切なく、金融からコンサル、アパレルまで、幅広い業界に注目しました。
【Iさん】そうなんですね。KさんやSさんと違って、私が選んだのは志望していたエンタメ業界を中心にエントリーしました。参加した数は、出版社やテレビ局、ゲーム会社、アニメ制作会社、映画会社など、トータルで12社です。
――参加した期間はどれくらいでしたか?
【Iさん】2〜3日間にわたって開催されたものもありましたが、私は主に1DAYのプログラムが多かったですね。
【Kさん】私もIさん同様、1DAYのプログラムが中心でした。スケジュールの調整がしやすく、気軽に参加できるのがよかったです。
【Sさん】私は、できるだけ長期間実施されるものを選ぶようにしました。短くても3〜5日間、長いところでは2ヵ月間というところもありましたよ。ある銀行のインターンシップは、2ヵ月間にわたって週3日ペースでリアルな職業体験ができるという、とても充実したプログラムでした。
【Iさん】学校の勉強と両立しながら2ヵ月間もインターンシップに参加するのは、大変ではなかったですか?
【Sさん】そうでもなかったです。有給のインターンシップだったのでアルバイト感覚で参加でき、業界や会社への理解を深めることができたので一石二鳥でした。個人的には、メリットのほうが大きかったですね。
――参加する理由や選ぶときの基準は千差万別なんですね。
――そもそも、皆さんはなぜ参加しようと思ったのですか?
【Kさん】本格的に就職活動をスタートする前に、幅広い業界の知識を身につけておきたかったからです。また、「就職活動の選考の練習になるかも」と思ったことも、参加を決めた理由のひとつ。実際、グループワークに参加した経験は、採用の選考でもしっかり活かすことができました。
【Iさん】早い段階でエンタメ業界を目指すことにしたので、業界研究はある程度できていました。知りたかったのは、その会社が新人に対して何を求めているかということ。また、どのような人が働いているかを知ることで、会社が求める人物像を理解できると思い、参加しました。
【Sさん】私が参加した一番の目的は、同じ就活生たちと繋がりたかったからです。実際、仲良くなったメンバーたちとはその後も就職活動の情報交換を行うようになるなど、貴重な仲間を見つけるいい機会になったと感じています。
――では、参加するインターンシップを選ぶときの基準はありましたか?
【Sさん】いろいろな業界を覗きたいと思っていたので、私はひとつの業界につき1社というマイルールを設定しました。
【Kさん】確かに、業界や職種を絞らない場合、たくさんありすぎて選ぶのに困ってしまいますもんね。私は、有名企業や大手企業を中心に選ぶようにしました。
【Iさん】私が選ぶうえで大切にした軸は、まず「入社したい」と思える会社であること。それから、エンタメ業界で必要とされる、企画力やプレゼンスキルを磨ける内容かどうかも重視しました。
――ちなみに、その先にある採用選考を意識しましたか?
【Sさん】私は正直、あまり意識していなかったですね。実際、インターンシップに参加した企業には1社もエントリーしていません。
【Iさん】えっ、そうなんですか!? 私は採用の選考時に少し有利になるのかな、ぐらいには思っていましたよ。
【Kさん】インターンシップ参加と採用の選考は別物、と切り離して考えていたのですが、参加することが就職活動時に有利に働くことってありますよね。私はインターンシップがきっかけで、あるIT企業から早々に内定をいただくことができました。結局、辞退することになったのですが、その後、本格的に就職活動をスタートするうえで、大きな自信になったと感じています。
インターンシップの選考について
学生たちが思っていること
――インターンシップに参加する際、選考はありましたか?
【Kさん】はい、多くの場合で選考がありました。そのほか、先着順や抽選を行うところもありましたね。
【Iさん】私が参加したものでも、8割くらいで選考がありました。なかには、就職活動のエントリーシートさながらの内容を求められるケースも。手間はかかりましたが、その内容を就職活動でも応用できたので、時間的に余裕ある時期にじっくり取り組めたのは、結果的によかったです。
【Sさん】私が応募したインターンシップでは、面接やビデオ動画の提出が必要なところもありました。例えば、営業系の会社では「自分が好きなモノやコトについてプレゼンしてください」という課題が出たり…。大変でしたが、就職活動に向けてのすばらしい予行演習になりましたね。
【Kさん】わかります! 適性テストを実施している会社もあって、実際の採用選考みたいでいい経験になりました。私が苦手だったのは、Webでの面接。どうしても表情が硬くなってしまい、うまく自分をアピールすることができませんでした。ただ、選考で落ちたからといって、へこむことはまったくなかったです。「縁がなかっただけ」と、割り切っていました。
【Sさん】ホントですか!? 私は、けっこう落ち込みましたよ。夏のインターンシップの選考に漏れて悔しかったので、秋のインターンシップに再度応募した会社もありました。
【Kさん】リベンジの結果は、どうだったんですか?
【Sさん】無事に選考を通過することができました。その瞬間はとてもうれしかったですね。
【Iさん】夏のインターンシップのときと違って、何か工夫をしたんですか?
【Sさん】私にとっての学生時代に力を入れたことは、友人たちとおこなったアプリ開発だったのですが、ちょうど夏頃にスタートしたばかりだったので、一度目は具体的なアピール材料がありませんでした。けれども、秋にはだいぶ開発が進んでいたので、そのことをPRしたら選考を通過することができました。
【Iさん】選考に落ちたときには、「自分が全力を出し切れなかったからだ」と考えるようにしていました。同時に、選考は自分の本音と向き合ういい機会にもなったと実感できました。結果を受けて、「この経験を糧に、採用選考は頑張るぞ」と思えた会社もあれば、「そこまで本気で入りたいとは思っていないのかも」と考え直した会社もあったんです。インターンシップの選考は、就職活動でエントリーするかどうかを決めるうえで、自分の気持ちを確かめるいいフィルターになりました。
後編は3月13日公開予定
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