大賞 富士通株式会社
「150以上の多様なテーマ設定で3週間の就業体験」

次世代育成の一環として考え出された
緻密なプログラム

富士通はITサービス市場において日本第1位、世界第5位のシェアを誇る(*)総合ITベンダーである。売上約4.5兆円、世界100カ国以上に拠点を持ち、海外売上比率は約40%というグローバル企業だ。そのインターンシッププログラムは、第1回「学生が選ぶインターンシップアワード」で見事、大賞に輝いた。学生にとって自己成長のきっかけになるようなインターンシップを狙いとして掲げ、150以上の多様なテーマを設定、全国120の職場で受け入れ体制を整えた。プログラムの随所に最先端のソリューションに触れる機会を設けているのも特長だ。オリエンテーションの時点で学生一人ひとりに明確な目標を設定し、その後のプログラムを通してつねに自分の目標を意識できるようにした。大賞受賞のポイントとなったのは気づきの機会が多いこと、個々にメンターをつける手厚いフォロー、そして全国での実施であるために地方学生が参加しやすかった点だ。審査を行った学生部会では、高校生にもインターンシップを拡大しようという意欲を評価する声もあった。

* Gartner, “Market Share: IT Services, 2016”

大賞が発表された瞬間、ハッと目を閉じた富士通・人事本部人材採用センター長の佐藤渉さんは、「まさか大賞をいただけるとは思いませんでした。企業として次世代育成を考えたとき、その答えの一つがインターンシップであり、大学での学びや経験値が社会とどのようにつながり、生かされるのかを体験する場としたかった。それを大学に持ち帰り、いっそう学びを深めていただければと願っていました。継続して行ってきた取り組みが評価されて嬉しいです。今後もいっそう質を高めていきます」と語った。

富士通のコアビジネスはB to Bソリューションであり、クライアントは医療・福祉、教育・学校、製造業、農林水産業、政府・自治体など多岐に渡る。しかしそれぞれの先にはその業界に関わり、サービスを享受する人々がおり、いわばB to B to Cとも言える。その多彩なサービスゆえに、インターンシップでは150以上のテーマの設定が可能だったのだ。企業プレゼンテーションは人事本部人材採用センターの橋元真実子さんが行った。

テーマに沿って
実際の職場で業務を体験する3週間

富士通のインターンシップは、3週間の就業体験を通じた育成、150以上の多様なテーマ設定、全国で200名以上の学生受け入れが特長だ。働くことの体験と、実習を通してICTビジネスに関わることでICTの魅力や可能性を体感してもらうことを目指している。実施時期は夏休みを利用した8月後半からと9月初旬からの2回で、それぞれ期間は3週間。募集テーマ数が150以上あり、そのテーマにより実施場所は北海道から四国まで全国に広がっている。受け入れた学生数は計220名。

目を惹くテーマ数の多さだが、その中から自身の興味に合わせて選択し、初日と最終日以外は担当部門で期間中ずっと業務を体験することになる。気になるテーマ例は、営業/マーケティング部門であれば、「商談開拓、お客様訪問、ソリューション提案活動、業種および市場マーケティング」など。このテーマに沿った一例が全国の小中高ビジネスに対する商談支援活動体験だ。あるいは、システムエンジニア部門は「システム/サービスなどの企画・提案・設計、パッケージソフトの開発」など。放送・メディア事業社に向けた未来提言型の映像ソリューション創出体験が具体例に挙げられている。開発部門は「サーバやストレージ、ネットワークなど多様なハードウェア/ソフトウェアの開発」で、具体的にはロボットクラウドプラットフォームとアプリの開発および評価体験を、コーポレート部門は「サプライチェーンマネジメント/購買/法務・知的財産」で、世界の特許情報やビジネス情報を活用して他社他業界トレンドの調査分析を体験する。

作り込まれた実習プランと
スケジュールの工夫

「期間を3週間に設定したのは、実践的な就業体験をした上できちんとアウトプットを出すには、これだけの時間が必要だったからです。これより短い期間では高い次元での育成が難しいと判断しました。インターンシップを有意義にするために工夫した点の一つが、目標の作成です。オリエンテーションにおいて、インターンシップ生が自分の行動特性を考えるためのワークを実施し、それに基づいて目標設定を明確にしました」

これを指針として毎日振り返ることで、インターンシップの最後まで目的意識を高く保てたことがわかる。さらに圧巻なのが一人ひとりに作成された綿密な実習プランだ。担当業務と業務目標、スケジュールをまとめたものだが、ここにも育成に欠かせない工夫が凝らされている。「まず、実習プランはあらかじめ詳細に計画しました。とくに業務目標では『知識を深める』『体験する』といった抽象的な表現に留めず、例えば『各種ソリューションの専門家ではない営業やパートナー様が活用できるよう、拡販資料をブラッシュアップする』『実践的な業務スキル、コミュニケーション力、お客様・パートナー様・社内におけるリレーションの重要性を習得する』など、できるだけ具体的に指示しています」

インターンシップ生と共有すべき目標があいまいであってはいけない。詳細なプランがあってこそ、インターンシップ生は集中して業務に取り組めるのだ。工夫はそれだけではない。次のポイントは、学生が興味を持ちやすいものに取り組んでもらうことだ。実際のお客様との定例会に参加するなど、良い緊張感を持続できる要素がスケジュールの随所に盛り込まれている。3つ目のポイントはインターンシップ中に先端技術を感じてもらうこと。例として挙げられたスケジュールには富士通研究所の見学が入っていた。最後のポイントは、スケジュールの終盤に一段高いレベルの課題を用意すること。学生の成長を見越して、例えばお客様への公開授業など、より高い次元の課題に取り組んでもらう。この実習プランには3週間を通して着実に成長する流れが、綿密に、丁寧に計画されていた。

二つのPDCAを回し、
成長を促すフィードバック

インターンシップ生には個々にメンターがつき、日々の業務指示のみならず、会社生活を全般的にサポートする。「メンター以外の社員もインターンシップ生に積極的に関わっています。部署全体でフォローにあたり、学生が疑問を感じたり困ったりした際にはメンター以外の社員にも頼ることができるよう、職場全体で支援する体制を構築しました。インターンシップ生を受け入れることは、改めて普段の業務や職場環境を見直す機会となりました。若手社員の人材育成という面からも、良い効果が期待できます」

学生へのフィードバックの軸となるのは、初日のオリエンテーションで設定した個々に異なる目標だ。「インターンシップの参加動機に基づき、最終日までに達成したい目標を設定します。次に、『主体性』『状況把握力』『実行力』『柔軟性』『論理性』『好奇心』『挑戦心』など、成果を創出するための行動特性に着目し、それぞれの能力向上にむけた具体的なアクションを考えました」

アクションに沿って日々の業務が行われ、フィードバックされる。このフィードバックは、二つのPDCAを回すことで効果を高めた。オリエンテーションの目標設定(Plan)に向けて、日々の実行(Do)があり、インターンシップノートへの記入で毎日の振り返り(Check)をし、改善(Act)したものを翌日の実行に生かす。この毎日の小さなPDCAと、初日の目標(Plan)からインターンシップを通しての実行(Do)を経て、最終日の成果発表で振り返り(Check),今後の実践レクチャーと新たな目標を設定する(Act & Plan)という、大きなPDCAだ。「インターンシップノートは毎日記入し、週に1回メンターに報告してコメントをもらいます。そうして最終日に迎えるのが、インターンシップを締めくくる成果発表会です。インターンシップ生たちはもう一度、インターンシップに参加した当初の目的や設定した目標を振り返り、実習先での業務内容、仕事の中で工夫したこと、成果、挑戦したことなどを資料としてまとめます。初日のオリエンテーション時と比べてみて、新たな気づきや成長できたと思う点、不足していた部分は何だったのかも併せて考えてもらいます。最後に、このインターンシップで学んだことを踏まえ、それぞれが今後の目標を発表するのです」

学生アンケートの1位は
「働くことのイメージが沸いた」

終了後の学生アンケートで、参加して良かった点としてもっとも多かった回答が「働くことのイメージが沸いた」だった。次いで「社会人になる上で、自分に不足しているものを知ることができた」「富士通への興味・関心が高まった」「進路選択の参考になった」と続く。以下に自由コメントからの抜粋を紹介する。

・働くイメージを描くとともに、自身を見つめ直すきっかけになった
・3週間“しっかり”成長に生かすことができるインターンシップだった
・長期インターンシップならではの学びを得ることができた
・部のメンバーの一員として体験できる業務が多く、有益だった
・メンターを中心に、多くの方々にサポートしていただいた

表彰式で佐藤さんは、「インターンシップは、職場にどうしても負荷がかかります。受け入れる体制を作り、準備をするのは大変なことです。だからこそ、こうした場で認められ、評価されることは大変な励みになります」と話した。次世代の育成と真摯に向き合う企業姿勢は正しく学生に伝わり、実を結んでいる。2019年度もまた、富士通のインターンシップが始まる。8月から職場受け入れを実施予定だ。

「学生が選ぶ インターンシップアワード」
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