優秀賞 ボッシュ株式会社
「グローバル企業の特性生かし、海外でインターンシップ実施」

学年を問わず理系学生を募集、
多文化の職場を体験

ボッシュは、ドイツを本拠地とするボッシュ・グループに属し、日本進出は1911年とその歴史は長い。売上の9割をモビリティソリューションズが占め、日本の自動車・二輪車メーカーをサポートする。国内の従業員は6,600人、1,300人が研究開発に携わっている。

国内の理系学生を対象にしたボッシュのインターンシップはグローバル企業の強みを生かし、3日間の事前研修後はベトナム拠点で実施された。現地の従業員と関わりながらの濃密な実体験と渡航学生への充実したケアなどが、グローバル人材の育成に貢献する独自性の高いプログラムとして評価された。

人事部門採用・人材マーケティング グループマネージャーの市山千奈美さんは「ボッシュ・グループでは毎年、多くのインターンシップ生を受け入れていますが、ほとんどが海外大学の学生でした。そこで3年前から『グローバル・インターンシップ』として日本の大学に通う学生を対象としたプログラムを開始したのです」と、このインターンシップが誕生した経緯を説明した。「ボッシュが日本進出してからその歴史は長いのですが、日本の学生の間では未だ認知度は高くないと感じています。自動車の部品を作っている会社という認識をお持ちの方が多いのではないかと思いますが、その事業はモビリティソリューションズ全般に及びます。現在は自動車の自動化や電動化、ネットワーク化に力を入れてビジネス展開をしています。インターンシッププログラムは8月下旬から9月初旬にかけての2週間で実施しました。対象となるのは理系学生で、学部生、院生は問わず、低学年の学生の応募も歓迎しています。学内セミナーやリーフレットの配布で広報活動し、昨年は15人の学生に参加していただきました。

多文化の環境で働くとはどういうことか、その中でエンジニアとして活躍するために必要なことは何なのか、そして大学で学んでいることが社会でどう役立つのか。このインターンシップの目的は、自分なりに考えて感じ取るミッションを通して、“学ぶ”と“働く”をつなぐ経験をすることです」と、人事部門アシスタントマネージャーの大山えりささんがプログラムの詳細を述べた。

現地渡航後は
チームごとにミッション遂行に挑む

プログラムのメインはボッシュのベトナム拠点で実施される。しかしいきなり移動するのではなく、最初の3日間は国内で事前研修が行われた。

「事前研修は、参加生がお互いを知って理解し、そして何よりも海外で活躍するためには欠かせない、“意見を発信することに慣れる”ためのものです。グローバルな職場環境を体感する一環として、電話会議も行いました。その後はいよいよ現地へ飛び、ベトナムチームの一員として、3人1組で各々ミッションに挑戦します。ミッションの内容は、例えば『自動パーキングブレーキ機能についての調査とテスト』など、実際の業務と同じものです。チームには大学の専攻がミッションに直結しないメンバーも含まれる編成となっています。役割分担をし、足りない部分を補い合い、助け合っていくこともミッションの一部なのです。最後はミッションの結果をトップマネジメントに英語で発表してもらい、優勝チームを決定します」

慣れない異国でインターンシップ生同士、寝食を共にしながらミッションに挑む。困ったことがあればすぐに手を差し伸べられるよう、万全のバックアップ体制は敷いてある。各チームにはメンターとして現地のベトナム人社員がつき、他に日本人社員がアドバイザーとして同行。日本の人事担当者もオンサイトでサポートにあたった。ただ、日本人であるアドバイザーも人事担当者も、インターンシップ生の安全や健康には気を配るが、基本的には学生の自主性に委ねることをモットーとし、過剰に手を出すことはしない。現地では仕事以外の交流機会もたくさんあり、メンターとだけではない異文化体験ができる。

自己成長につながるよう、
ミッションの難易度や内容を工夫

「工夫した点の一つがミッションの内容です。まず、限られた期間の中でギリギリ達成できるかどうかの難易度で設定しました。これを実現するために、参加学生が確定した後にも、個々人のスキルや専攻を踏まえて、現地エンジニアと各ミッションを調整しています。次に、担当したミッションがボッシュのどんなビジネスにつながっているのかを意識してもらえるよう、事前研修では事業部のビジョンや最新技術についての説明を盛り込みました。課題の遂行を通じてボッシュについての理解が深まったと思います。また、ミッションは自己完結できないもの、現地社員とコミュニケーションをとらなければ進められないものを設定しました。

工夫の二つめは、コミュニケーションです。参加学生が自分のチーム以外のメンバーが経験したこともできるだけ皆で共有できるような仕組みを作りました。それが日々のラップアップ(まとめ)や最後のプレゼンテーションです。また前述のように、日本人社員のサポートは本当に困ったときのみとし、適度な距離感を保つようにしました。安全面や健康面には細心の注意を払う一方で、現地社員とのコミュニケーションなどについては過剰にケアしません。どうやって意思の疎通をするか考えて実践するのも勉強です。このプログラムがインターンシップ生に挑戦や失敗、気づきや成功など多くの経験をもたらし、自己成長を促すものになるよう願っていました」

学生同士からトップマネジメントまで
多方面からのフィードバック

フィードバックは多方面から階層ごとに得られるようにした。最初は学生同士のフィードバックだ。経験を共有し、互いに論評しあう。次のステージはメンターからのフィードバック。ベトナムのメンターは日々の気づきをフィードバックし、日本のアドバイザーは学生から上がってくる、業務内容や技術的な質問、コミュニケーションの問題などをまとめたデイリーレポートに目を通し、コメントする。最後のステージはトップマネジメントによるフィードバックだ。最終日のプレゼンテーション後に、トップマネジメントから良かったところ、改善点について話がある。

参加学生からの熱いコメントの数々

海外での就業体験が濃密だったことは、参加した学生の終了後アンケートからよく伝わってくる。企業プレゼンテーションでは彼らの声が、「仲間」「ボッシュや自動車業界への理解」「グローバルな環境で働くこと」「成長」の4つのカテゴリーで紹介された。

仲間:
「メンバー3人がそれぞれの役割を担って作業し、最後に皆の作業を組み合わせて完成したUIを使ったとき、すごく嬉しかったことが印象に残った」「専門知識がなくても、チームで力を合わせることで諸問題を乗り越えることができた」「チームワークがいちばん大切だと感じた」「最高の仲間」「この夏いちばんの思い出になった」

ボッシュや自動車業界への理解:
「出会ったエンジニアの方々が皆とても親しみやすく、仕事に対するパッションがあり、いきいきと議論し、活躍されていた」「ボッシュや自動車業界への憧れがよりいっそう強くなった」「インターンを通してベトナムの方だけではなく、ドイツやインドの方とも交流することができた。このような環境から、ボッシュバリューであるFairnessやDiversityをとくに肌で感じた」「ボッシュを知らなかったら本当にもったいないと感じる」

グローバルな環境で働くこと:
「日本にいるだけでは決して感じることのできない体験が数多くあった」「グローバルで活躍したいという想いが強くなった」「“グローバル”とは何かを、自分の肌で、頭で感じられた」「『世界を相手にモノ作りをするエンジニア』に、どのようにアプローチしていけばよいかを改めて考え直すことができた」「自分の英語力が足りないことを痛感したが、コミュニケーションをとる上でもっと大事なことは、伝えようとする気持ちなのだと感じた」「相手を理解し許容する力、オープンマインド精神が重要」

成長:
「自分に向き合えた2週間だった」「今まで気づいていなかった自分の良さを知った」「最終選考と事前研修の段階から、学ぶことが多かった」「以前より自分に自信を持つことができた」「大きなやりがいや達成感がある」「私もこんな風に働く女性になりたい」「グローバルに活躍できる人材になって、挑戦してみたい」「目標が見えてきた」「この経験をどう生かすかの方がもっと大切だと感じる」

グローバル企業ならではの強みを生かした海外拠点でのインターンシップ。今年はベトナムに加え、タイ拠点での実施も決まっている。より多くの学生にとって、「グローバルに活躍するエンジニア」に向かって一歩踏み出す素晴らしい機会となることが期待される。

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