審査講評「インターンシップアワードはどのように評価されたか」
法政大学 キャリアデザイン学部 教授 梅崎 修氏

学生からの評価を基準に企業を選出

大賞・優秀賞6社のプレゼンに続き、本インターンシップアワード選考委員でもある法政大学 キャリアデザイン学部 教授 梅崎修さんから講評がなされた。どのような基準で評価が行われたのか、そしてインターンシップに活かすべきポイントとは何なのか。

「今回は第2回目ということで、昨年より多くの応募が寄せられました。“学生が選ぶ”インターンシップと謳っているので、評価方法の大枠は前年と変わらず学生の評価を基準にいたしました。前年からの評価の変更点は、効果測定尺度というものを学生アンケートから開発し、評価に活用した点。もう一つは、東京中心だった評価会議の学生メンバーを全国規模に拡大したことです」

評価会議では、まず学生自身が体験したインターンシップの振り返り・内省を行う。こういった事前作業がないと主観的な人気投票になってしまうため、「自分にとってのインターンシップとは」という自己内基準を設定し共有してもらう。また、前年の受賞インターンシップがどういうものであったかを紹介し、それらを見ながら「自分だったらどうするか」を考えてもらう。これが「個人評価」だ。その後、個人評価を少人数のグループで共有し、互いに点数に差はあるか、違っているのはどのような理由なのかを議論してもらう。その上で、グループごとの総合点をつけていくという流れだ。その際、すべてを定量的なデータに置き換えるのではなく、面白さや魅力をコメントに残してもらうことで、定性的なデータも収集した。アンケートやグループワークで集めた、量および質的な情報を踏まえ、点数が高いものを徐々に絞り込み、最終的には委員会が決定するというプロセスをとった。

梅崎さんは、学生らがインターンシップについて議論する様子を見ながら「学生はよく見て選んでいる」印象を持ったという。なぜなら学生がインターンシップに参加できる期間は有限で、気になったものすべてに参加することはできないから。「就業体験を通じて、何らかの能力を伸ばそうという貪欲な気持ちが非常に強いように感じた」と梅崎さんは述べている。

各社の審査講評 ①

ここからは各社の講評に移る。梅崎さんはあいおいニッセイ同和損保のプログラムについて、「コミュニケーションを設計するのではなく、コミュニケーションの“場”を設計することに、かなり丁寧に向き合っている」と評価した。

「コミュニケーションというと、聞いたり教えたりがインターンシップにおいては中心になります。しかし『カバン持ち』というシステムを作ることで、“見る”とか“感じる”とか、非言語情報としてのコミュニケーションがプロセスに埋め込んである点が魅力的だと思いました」

続いて、旭建設。同社のインターンシップはとことん現場を見せる「リアリスティックジョブプレビュー」の代表例で、下手に飾らず、パートナー会社を巻き込みありのままの業界の姿を見せた点が評価された。

「『コミュニケーションの分厚さ』というキーワードでも評価が高く、実習日誌が分厚い分、コミュニケーションが厚みが感じられますね。この厚みというのはなかなか真似できません。フィードバックが厚い分、学びは深くなるため、効果的なプログラムだったと言えるでしょう」

次は、昭栄美術。課題解決型の「プロジェクトベースドラーニング」は、大学でもよく行われる手法だという。課題解決型プログラムを成功させるカギとなるのは、課題の与え方だと梅崎さんは言う。何を課題に据えるかとなったとき、同社はクライアントの課題を設定した。

「また5日間を連続にせず間隔を空けている点も、なかなか考え抜かれたプログラムではないかなと思いました。それによって内省したり学んだりすることになりますので、成長スピードを考慮しながら適切な期間インターバルを設けるというのはとても絶妙でした」

各社の審査講評 ②

力の源ホールディングスは、ビジネスの最先端に触れるという点で学生からの評価が非常に高かったという。また大学2校と連携することで、学業とキャリアが相互連関するという理想的な形を描けていたことも高評価につながった。

「『掛け合わせ』を上手く使ったプログラムだと感じました。学生は夏休みの間、いくつものインターンシップには参加できませんので、一つのプログラムで海外経験もビジネスコンテストにも挑戦できるとなったら、選んでみたいと思うのは当然なのかもしれません」

ボッシュの中期インターンシップは、成長が実感できるほどの期間を実際の業務の中で過ごせることが魅力的だとされた。

「社員と同じレベルでの仕事はできないにしても、まったくの初心者だった学生が、数週間経つと『ここまでチャレンジできたんだな』と、仕事の核心に向かう流れが読み取れたのではないかと思います。職場内での支援も手厚く、業務上の指示や内省的なフィードバックも丁寧なところが支持されました」

最後に、大賞を受賞した三菱電機。学生からの評価が非常に高かったことが特筆すべき点だろう。個別対応を249名の規模で行うという本気度、体制づくりに高評価が集まった。

「大企業にも関わらずこれだけ多くのプログラムを運営し、仕組みによって懸念点を乗り越えた点が素晴らしかったです。社内のコミュニケーションも、かなり多方向からの声を意図的に学生に浴びせている点も、会社全体を体験できる点で魅力的だったと思います」

良いインターンシップを開発するためには
自社のオリジナリティを磨くこと

評価を翌年に活かしてもらうにあたり、足りていなかったポイントを指摘して改良することより、オリジナリティを磨くことが重要だと梅崎さんは語る。

「課題設定をどうするか、フィードバックの方法をどうするか、といった議論ではなく、どの企業も必ず持っている独自性に目を向けていただきたいと思います。他社とは違う新しい取り組みを開発するというより、業務・連携・地域など、自社らしさは何なのかに立ち返ることです。

その前提のもと、評価が高くなる傾向にあるプログラムは、社内リソースだけで構成しているのではなく、クライアントや大学、地域などを巻き込み、社会と接続させているものです。学生が親和性を抱きやすいという点から、興味関心が膨らみやすい側面があると思います。ぜひインターンシッププログラムが次々と改良・改善され、そして新しい体験が生まれてくることを期待しております」

「学生が選ぶ インターンシップアワード」
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