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キーノートスピーチ富士通株式会社
人事本部人材採用センター センター長 佐藤 渉氏

前年の「学生が選ぶインターンシップアワード2018」にて大賞を受賞した富士通株式会社によるキーノートスピーチからインターンシップカンファレンスは幕を開けた。

富士通はICT(情報通信技術)をベースとしたサービスソリューション事業を展開しており、売上規模は約4.5兆円、従業員数が単独で3.3万人、連結で約14万人と、ITサービス市場では国内第1位のシェアを誇る(*)。官公庁や自治体をはじめ、金融や流通、医療や教育など多様な分野の団体、企業にサービスを提供しており、「ヒューマンセントリックイノベーション」をビジョンに掲げ、人を中心とした豊かな社会づくりへの貢献を目指している。(*Gartner, “Market Share: IT Services, 2016”)

学生が学んできたことと社会がどう繋がるかを
イメージさせるのがインターンシップの役割

富士通・人事本部人材採用センター長の佐藤渉さんは、同社での経験を通して意義あるインターンシップについてこのように位置づける。

「重要なのは、学生が学んできたことと社会とがどうつながっていくのか、それをインターンシップを通じて体感できることです。慣れ親しんだ居心地の良いコミュニティから一歩踏み出し、フィードバックを受けることで、自分に足りないものを痛感する。それが成長に向けての強力なエネルギーになり、学びを重ねていくきっかけとなります。また、学生が自分の可能性を狭めることなくキャリアビジョンを描けるようになることが、インターンシップの意義でもあります」

良好な景況感が続いていることと、採用広報活動の開始時期が後ろ倒しになったことも影響し、ここ数年学生の就職活動量は減少傾向。先入観や思い込みによる選択・判断が懸念されている。

「インターンシップを通じてよりオープンに企業の姿を見せていき、どのような職種があり、どのようなやりがいや魅力があるかをリアリティをもって伝えていく場を提供することが必要です」

前年の大賞受賞企業が
インターンシップにおいて工夫した点

富士通はこのような考え方に基づきインターンシップ内容の改善を重ね、2017年夏に実施した3週間の職場受入れ型インターンシップにて大賞を受賞した。この1年を振り返りつつ、佐藤さんは富士通のインターンシップについて次のように説明した。

「インターンシップを意義あるものにするために、富士通では3つのことを行いました。

 一つ目は、リアリティある就業体験を提供するために受け入れ期間を3週間としたこと。二つ目は、より多くの学生にインターンシップの参加機会を提供するために受け入れ人数を増やしたこと。三つ目は、受け入れ部署によるプログラムの質のばらつきを抑制するためのクオリティコントロールを徹底したことです。また、学生一人ひとりに専任のメンターを配置し個人ごとの実習プランを作成することで、質の高い学びと満足度の向上を目指しています。

学生の成長に必要なものはフィードバックです。インターンシップ期間中、毎日の小さなPDCAと全体を通しての大きなPDCAの2つを回すこと。そしてフィードバックの効果を高めるためにタイミングや手法などを工夫することで改善ポイントを明確にし、学生の満足度を高めていきます」

キャリアの焦点化と展望化が
同時に進むプログラムを

「インターンシップ生へのアンケート調査を行ったところ、『働くことや職種に関する具体的なイメージをリアリティをもって捉えることができるようになった』『自分に不足している点、より学ぶべき点や経験すべきことがより明確になった』という項目が上位にランクインしました。これは、私たちが設定したインターンシップの目的に対して一定の効果があったということです。また昨年のアワードでの大賞受賞理由として、『抽象と具体のバランスの良さ』『キャリアの焦点化と展望化の両立がなされている点』を法政大学・梅崎教授や学生審査員から評価をいただきました。

梅崎教授の研究をもとに、2018年夏にも同様のアンケート調査を行ったところ、インターンシップに参加したことで『興味のある業界、企業、仕事内容の範囲が広がっている』という“キャリアの展望化”とともに「働きたい業界、企業、仕事内容のイメージが明確になっている」という“キャリアの焦点化”に関しても伸長率が高くなりました。焦点を絞りつつも、展望が広がる状態が同時に進むプログラムを提供できていたことが分かる結果でした。今後もインターンシップのコンテンツとの因果関係を分析しながら、より質の高い学びを得られるプログラムを開発していきます」

学びを後押しする「4つの多様化」を目指して

2018年秋口、経団連から通年採用を促すコメントが発表され、産学官による高等教育、次世代を担う人材の育成に向けた議論が活発化している。雇用システムや採用の在り方だけでなく、今後のインターンシップの在り方についても、社会的な共通認識を形成しなければならないときが来ている。このような社内の動きも注視しながら今後のインターンシップを検討していく必要があると佐藤さんは言う。

「今後のインターンシップにおいて基本とするコンセプトは、『学生の主体性と目的を持った学びを後押しする4つの多様化』です。

 まず、実施時期や期間を多様化することで、留学や研究など意義の高い様々な活動とインターンシップへの参加が両立できる環境を作ること。多くの職種コースを提示し学びのアプローチを多様化すること。また対象者の範囲を拡げ、既卒者や低学年を対象としたプログラムを提供すること。そして社員はもちろんのこと、ビジネスパートナーやお客様などインターンシップに関わる人を多様化していくことの4つです。リアリティのある働き方やキャリア形成の多様性を提示すること。この4つを進めていくことで、私たちは今まで以上に学生の成長を後押ししていけると考えており、リアリティある多様なキャリア形成を推進していく所存です。

グローバルにおける日本の競争力を高めていくためには次世代を担うコア人材の育成は急務です。インターンシップは、そのために有効な施策の一つ。多くの好事例が寄せられるこのインターンシップアワードが果たす役割は極めて重要で、今後も大きな期待を寄せております」

「学生が選ぶ
キャリアデザインプログラムアワード」
運営事務局

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