優秀賞 三井住友海上火災保険株式会社
「最大15日間、段階的に参加できる柔軟性のある設計」

4つのステージを進むにつれ
業務理解が深まる

損害保険を中心とした、グローバルな保険・金融サービスを事業を展開する三井住友海上火災保険。従業員数は約1万5千人、海外ネットワークを42カ国・地域に展開する。「MSI COLLEGE」と銘打ったそのインターンシップは全国7都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)で開催され、最大15日間という中長期的な時間軸で注目された。必須参加である最初の5日間は損害保険会社の業務をリアルに体験する課題解決型プログラム。その後は、任意参加の職場体験プログラムへ移行できる。社員の1割にあたる1,430名が協力しており、個人へのフィードバックも丁寧だった。学生の希望に応じて段階的に参加できる設計、細かく設定されたプログラム内容、学業への配慮など、総合的に評価が高かった。

人事部副部長兼採用チーム長の宇都宮重忠さんは「社員の1割が協力して多岐に渡るコンテンツを用意し、希望に沿って段階的に進められる設計にしたのは、学生の知的欲求に応えるインターンシップを目指したためです」と、狙いが受賞に結びついた喜びを語った。プレゼンテーションを行ったのは、人事部採用チームの宗玄清秀さん。

「昨年はマイナビなどのナビ媒体、大学キャリアセンター、内定者からの声かけで広報を行い、採用HPでも告知しました。エントリーシート、Webテスト、グループディスカッションを経て5日間の必須プログラムに進んだのは約2,500人でした。これは全国7都市で夏・秋・冬に実施しています。次は職場受け入れの任意プログラム『Premium』で4日間、秋・冬の実施です。二つ目の任意プログラム『Plus』は冬実施で2日間。最後の任意プログラム『ビジネスコンテスト』はやはり冬実施で4日間、全国各地の学生が参加しました」

具体的なシーンを設定して
リアルに仕事を体感

MSI COLLEGEは5 DAYSに始まり、Premium、Plus、ビジネスコンテストと続く。課題に向かって挑戦を続けながら、最大15日間の中長期でキャリアを考える。学業との両立を配慮し、一部のみの参加も可能としていることが大きな特長だ。

「最初の5 DAYSは、リスクマネジメント、経営サポート、損害サポート、営業を体感することで業界と会社を理解し、損害保険の未来を考えるという内容です。ケーススタディ形式をとっており、例えばリスクマネジメントと経営サポートのプログラムであれば、アミューズメントパークの担当者という具体的なシーンを設定、潜在的なリスクの洗い出しを行い、運営会社に対して経営サポートを行います。このプログラムを踏まえた上で、翌日はリアルな交通事故の事例を通して損害サポートを理解します。ロールプレイやプレゼンテーションを用いて段階的に理解を深めていけるプログラムにしました。

任意の参加となる職場受け入れ型のPremiumには、総合コースとグローバルコースを用意。総合コースは営業と損害サポートに焦点を絞り、4日間でビジネスマナー講習や、社員に同行してお客様などを訪問します。主な運営は人事、営業、損害サポートの各部署です。グローバルコースは国際業務について学ぶことを目的とし、外国籍社員との交流や、会議の同席を含む業務を経験してもらいます。運営として関わるのは人事、国際業務部、船舶営業部、海損部、海外プロジェクト課などです」

5 DAYSとPremium、二つの段階に分けた効果は大きかった。既に5 DAYSを経験した後の学生は、Premiumで受け入れ先の職場に入っても業務理解がスムーズであり、行動が積極的かつ主体的であったという。受け入れる側も参加学生を新入社員と同じように扱うことで、より高度でリアルな業務体験の提供が可能になった。

多くの社員の協力で交流の機会を複数設ける

MSI COLLEGEには全国で1,430名、全社員の約1割が協力している。営業部門だけでも、メーカーや商社、建設、鉄道、航空、金融機関など各産業の大企業を担当する「企業営業」、特定の地域で企業や個人のお客様に対して最適な保険プログラムや防災・減災ソリューションを提供する「リテール営業」、自動車販売会社やリース会社を担当して豊かなカーライフや自動車産業の発展に貢献する「自動車営業」、商社や海運、物流会社を担当し、貿易、物流、船舶、海洋エネルギー開発に関わるリスクを調査分析する「マリン営業」と、多種多様で幅広いビジネスの一端を垣間見ることができる。

「5 DAYSから社員との交流は盛り込まれています。第一線で活躍する社員が、営業の面白さや難しさを、リアルな実体験を交えながら伝えます。このロールプレイでは社員が代理店の責任者を演じ、学生が提案する損害保険の新商品拡販の提案を聞きますが、これは損害保険商品の深い知識やスピード感のあるコミュニケーション、代理店ごとに抱えるさまざまな課題への提案力などが問われる、非常に難易度の高いプログラムとなっています。緊張した雰囲気の中で、準備したことが咄嗟に出て来ず、苦戦する学生がほとんどです。提案を聞いた後は、社員が厳しくかつ丁寧にフィードバックを行います。プロフェッショナルとして大切にしていること、会社の代表としての責任感、仕事に対する熱意や想い、商品に関する絶対的な知識量など、フィードバックの観点はさまざまですが、ここで社会人の能力の高さを感じる学生が多いようです。最後はもっとリラックスできる社員懇談の時間を複数設け、入社を決めた理由や社内外の雰囲気、オフの話、将来の夢などを、ざっくばらんに話せるようにしました」

参加学生の視野を広げる
多方面からのフィードバック

フィードバックは主に、第一線の社員、人事社員、内定者という3方面から受ける。

「Premiumでは、営業同行など実際の仕事を体験する中で、個々の業務について営業、損害サポート、国際業務などで活躍する第一線社員がフィードバックを行います。業務内容が多岐に渡るため、職場全体を巻き込んで学生一人ひとりと向き合い、新入社員のOJTに近い形の対応です。

人事社員のフィードバックですが、5 DAYSでは毎回のプレゼンテーションごとに良かったポイント、改善ポイントについて指摘します。人事のフィードバックで心がけたのは、プレゼンした当の学生だけでなく、周りで聞いている学生にとってもプラスになるような観点です。最終日には、今後どのように行動すべきかのアドバイスを送ります。Premium、Plus、ビジネスコンテストにおいても、新たなフレームワークをレクチャーし、ビジネス社会における多様な考え方を学んで学生が視野を広げる支援となるよう、意識しました。

内定者は、5 DAYSにおいて各チームに一人以上がアドバイザーとしてつき、学生の発言や行動、取り組み姿勢を観察し、フィードバックします。内定者は学生との年齢が近く、良き相談相手としての役割も担います。気軽に就職活動の相談ができると好評でした」

毎日、第一線で活躍する社員や内定者からフィードバックを得る機会を作り、学生の多様なニーズに応える構成への評価は高い。参加した学生は指摘されたことを改善するために考え、行動した結果、新たな自分の一面を発見したり、新しいフィールドに挑戦する楽しさを感じたりできたようだ。

仲間と共に挑戦と達成、
成長のサイクルを習得

「MSI COLLEGEを開催するにあたっては以上のようにさまざまな工夫を凝らしていますが、それは学生の皆さんに社会人基礎力、そして挑戦→達成→成長というサイクルを習得してもらうためのものでした。社会人基礎力とは主に、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力の3つの能力です。

このインターンシップでは限界を超えて考え抜く、自分の信念を貫き通す、視野を広げて創造力を磨く、といった当社で働く上で必要な力を身につけて欲しいと願っていました。学生の皆さんはよく『正解』を求めてきますが、ビジネスに正解はありません。よって、グループワークの課題も、正解は一つではありませんでした。2日目から5日目にかけては難易度、スピード感ともに徐々に上がっていくので、終わったころには大きく成長した自分に出会えたはずです。

それまで接点のなかった仲間と協力して難しい課題に挑み、トライアンドエラーを繰り返してクリアし、成長する。社会で働くとはその連続です。このインターンシップで得た経験を大きな成長の糧として、終了後も身の回りの新たな分野に挑戦して欲しい。PremiumやPlus、ビジネスコンテストで再会したときに、大きく成長した姿を見られると感慨深いものがあります」

満足度99%以上の5 DAYS、
100%のPremium

5 DAYSを終えた学生の満足度は99%以上だった。「仕事に対して具体的なイメージが得られ、今後のキャリア形成に大きく役立った」「グループワークを通じて多様な考え方に触れ、集団の中における自らの役割を意識して全うする大切さを学んだ」「失敗を恐れず、トライアンドエラーを繰り返して100%を目指す。この考え方に出会い、インターンシップ後の学生生活や就職活動に積極的になれた」などの声が寄せられている。

Premiumに関しては、満足度100%を誇る。「社外(代理店やお客様)から見た三井住友海上火災保険の存在意義や評価の高さを知ることができた」「社員と社外の方との信頼関係が想像以上に強く、驚いた」「一部の抜粋ではなく、一連の業務の流れや意味、背景を理解できた」「人材育成制度の手厚さに驚く。成長できる環境があると感じた」「産育休制度を実際に利用した社員の話が聞けた」「マネージャーから若手社員まで、交流の機会が多く、それぞれの仕事に対する誇りや熱意を感じた」──。

感想からも、インターンシッププログラムのステージが上がるたびに、参加生たちが成長していく様子が伺える。

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