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優秀賞 株式会社クラウン・パッケージ
「リアルな仕事体験&手厚いフィードバックが特長」

お客様は、
全国30大学の大学祭実行委員の皆さん

クラウン・パッケージはパッケージの企画、製造、販売までを手がけるメーカーだ。街中でよく見かける宅配ピザの箱も、クラウン・パッケージの製品である。従業員数は1,700名(2018年4月時点)、売上高は409億円で13年連続増収。北海道から沖縄まで、全国に拠点を展開している。そのインターンシップは「どうせやるなら『ガチ』がイイ!」と、リアルな仕事体験を目指したものだ。大学の学園祭で実際に使用される食品トレーの企画を学生自らが提案し、製造・販売まで関わる実践型で、計7日間のプログラムだが週1回ペースで開催されるため、全日程は2カ月強となる。実施日以外もチーム毎に研究・改善できる余裕のある時間構成の工夫や、参加学生一人ひとりへの手厚いフィードバックが評価された。

企画人事部部長の片桐登喜夫さんは、「何より嬉しいのは、『学生目線』で選んでいただいたこと。2011年から7年間、長く続けてきた甲斐がありました」と語った。続くプレゼンテーションでは同社企画人事部課長代理の清水郁子さんと二人、テンポの良い掛け合いで楽しくインターンシップの内容を解説し、会場を沸かせた。「プログラムの内容は、大学祭の模擬店で使用する食品トレーの企画・製造・販売です。実際のお客様を相手にしたプレゼンテーションも含め、全ての工程を体験する『ガチ』なインターンで、今年で7年目となります。お客様となるのは全国30大学の大学祭実行委員会の皆様ですが、7年前は3大学のみでした。プログラムの内容は、大学祭の模擬店で使用する食品トレーの企画・製造・販売です。環境に配慮したエコペーパーもしくはFSC®を使った素材でオリジナルの製品を考えるわけですが、実際のお客様を相手にしたプレゼンテーションも含め、全ての工程を体験する『ガチ』なインターンで、1,000万円という売上目標も設定されています。お客様となるのは全国の大学祭実行委員会の皆様ですが、7年前に始めた当初は3大学のみだったのが、昨年は30大学まで増えました」

* FSC®:Forest Stewardship Council(森林管理協議会)が認証する木材・木材製品。環境保全の点から見て適切に管理された森林から産出されたことを保証するもの。

時期は8月から10月初旬。週1回開催の7日間、全2カ月間となる。マイナビ2019やマイナビTV、合同説明会で募集をかけた。募集に際しては週刊誌の中吊り広告風のポスターを作成、大見出しには「名ばかり就業体験とはサヨナラ どうせやるなら『ガチ』がイイ!」というキャッチフレーズが踊った。昨年参加した学生数は東京で25人、大阪で25人だ。

現場体験をインターンシップに
取り入れる流れとは

大まかなスケジュールは、オリエンテーション、営業、企画会議、プレゼンテーション、製造、納品という流れとなる。最初のオリエンテーションではこのインターンシップの目的を全員で共有した後、名刺の渡し方をはじめとするビジネスマナーレッスンを受ける。次に営業体験では、実際に大学祭実行委員のお客様から、エコトレーのニーズをヒアリングするのが主なミッションだ。営業社員もオブザーバーとして同行するが、配布資料やサンプルの準備を含む業務は学生が主体となって行う。

「営業というと『上手く話さなければ』と思う学生が多いのですが、実際には話すよりも聞く時間の方が多く、聞く力が問われます。お客様が何を求めているのかをきちんとヒアリングしないと企画に生かせませんから」

企画会議の目的は、自分たちの作りたいものではなく、ヒアリングに基づいてお客様に必要とされる製品を形にすることなのだ。

プレゼンテーションは、お客様を招いて行う。企画、準備、運営の全てを任され、PPTや配付資料の作成はもちろんのこと、デザインコンペも実施された。ここで学生は、納期は絶対厳守であること、そのための段取りがいかに大切であるか、そして一つの製品が世に出るまでに関わる人数がどれほど多いかを肌で知ることになる。プレゼンが終われば、次は製造工程だ。工場に足を運び、製造社員指導の下、おそらくほとんどの学生にとって初めてであろう、インクの調色や品質チェック、梱包などの製造体験をする。

現実的な制約を踏まえた上で
より良い企画を出す体験

企画から納品まで一連の流れの全てを経験するプログラムには、企業の事業内容を掴むだけでなく、あらゆる部署の社員と交流できるというメリットもある。営業職社員とは営業同行やプレゼンテーションのオブザーバー、懇親会で親睦を深めた。デザイン職の社員には企画を立案する際にアドバイスをもらい、製造現場では体験を通して新たな知識を得る。

「社員との交流を通じて学生は、業務に関する知識はもちろんですが、現実的な仕事の感覚も学びます。例えばデザイン一つとっても、一点ものではなく、大量に生産することを考えなくてはなりません。製造ラインにのせられるデザインの制約、納期という時間の制約、予算の制約、そうした様々な条件を踏まえた上で、より良いものを企画するのが我々の仕事です。それを感じてもらうことが、『ガチ』の仕事体験だと考えていました」

ユニークで多彩なフィードバック

フィードバックの手法がユニークだ。学生の、インターンシップ中の行動や発言を観察して記録し、最終日には一人ひとりに「手紙」の形で渡す。

「A4用紙1枚に、チームへのフィードバック、個人の良かった点、今一歩だった点、第一印象、就活アドバイスなどをぎっしり書き込んでいます」

記憶に残るインターンシップにしたかった、という想いが余すところなく表れたフィードバックだ。それだけでなく、アルバムの形の修了証書とDVDも授与される。数々の写真や動画から、2カ月にわたってチームで奮闘した思い出が甦る。成長の過程、一人ひとりの長所・短所、就活へのアドバイスにも言及するこうした手厚さは、今回のアワード選考に携わった学生の間でも評価が高かった。

実施日以外も仕事のことを意識する
卓越した時間軸の工夫

クラウン・パッケージのインターンシップにはいくつもの独自の工夫がある。その一つが時間軸だ。

「7日間ですが、週1回の開催にして、全2カ月間にしました。これは企画から製造までのリードタイムを実際の仕事同様に設定するためです。しかし結果的に、参加者は実施日以外の日もチームでコミュニケーションをとり、パッケージのことを意識して過ごすことになりました。次回までに研究し、改善する時間を取れる構成がリアルな仕事体験につながったようです」

また、東京と大阪のインターン生が合宿形式で交流できるようにし、締切日時の意識づけや企画アイディアの相乗効果を狙った。コンペを実施したのは、現実の仕事を意識させる一環だ。各チームは2種類のトレーデザインを企画するが、そのうち1種類を東京と大阪で、それぞれコンペにかける。真剣に取り組んでも製品化に結びつかないことは、現実社会では珍しくない。選ばれない悔しさから得ることもあり、そういう経験もして欲しかった。

製造体験もまた、独自の工夫だ。単純作業であるかのような製造職のイメージを払拭することが目的だった。クリエイティブな仕事も製造職の一部であり、インターン生にとっては製造担当者の手によって製品ができることを体感する良い機会となっただろう。

参加学生の声

最後に参加後に寄せられた感想文から抜粋した「参加学生の声」が紹介された。

「ガチのインターンシップを体験できた」「お客様からお金をもらう“仕事”は、どの場面をとっても気が抜けない。どうしたら買ってくれた人に『良かった』と思ってもえらえるか、つねに想像しながら臨んだインターンシップだった」「このインターンシップは、約2カ月間強の間ずっと考え続けるという、極めて珍しいものだった」「自分たちの手で企画から製造に関わることができ、本当に良い経験になった」「アイデアや意見を一つにまとめるのが大変だった」「一つのことを皆で考えて共有し、一つのモノを作るというのは、なかなか体験できないことだと思う」

全体的に、企業が願った通りの成果が達成できるインターンシップであったことがわかる。「ガチ」の実務を経験して、インターン生には大きな自信となったことだろう。

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